アルファベット順

殊に(ことに)

04/07/2014 10:55

→「ことに(異に・殊に・事に・別に)

用例

長いこと物蔭にはまだ殘つて居り村端れ一片《ひとつ》青んでゐない晴れたそことなく霞んで雪消《ゆきげ》泥濘《ぬかるみ》處々乾きかかつためいた薄ら温かく吹いてゐたそれ明治四十四月一日ことであつた
學年始業式なので、S尋常高等小學校代用教員、千早健《ちはやたけし》平生より少し早目に出勤した白墨《チヨオク》汚れた木綿紋附擦り切れた長目穿いてクリクリした三分刈帽子冠らず――帽子有つてゐなかつた。――亭乎《すらり》とした眞直にして玄關から上つて行く早出生徒毎朝控所彼方此方から驅けて來て恭しく迎へる中には態々叩頭《おじぎ》する許《ばつか》り其處待つてゐるあつたその殊に多かつた平生三倍四倍……遲刻勝な成績惡いさへ交つてゐた。健直ぐ其等心々溢れてゐる進級喜悦想うたそして何がなく曇つた
その解職願してゐた
石川啄木足跡」1909冒頭
上条下宿しているもの大抵医科大学学生ばかりその外大学附属病院通う患者なんぞであった大抵どの下宿屋にも特別に利かせているあるものそう云う第一金廻り好く小気利いていてお上さん箱火鉢控えて据わっている廊下通るとききっと声を掛ける時々その箱火鉢向側しゃがんで世間話一つする部屋酒盛してわざわざ拵えさせたり何かしてお上さん面倒見させ我儘するようでいて実は帳場附くようにする先ずざっとこう云う尊敬受けそれ乗じて威福擅にすると云うである然るに上条利かせている壁隣頗る殊にしていた
森鷗外」1913)