ものだ 連語

12/10/2017 05:38

→「もの(物)1-4.

→「ものだから

用例

灝気《こうき》薄明《うすあかり》優《やさ》しく会釈しようとして
新しく活溌《かっぱつ》に打っている
こら下界お前ゆうべ曠《むなしゅ》うしなかった
そしてけさ疲《つかれ》直って己《おれ》している
もう快楽を以て取り巻きはじめる
断えず最高存在志ざして
力強い決心働かせているなあ
ファウスト第二部
序曲
六月十日 にて
 御無沙汰いたしました今月初めから当地滞在しておりますからよくこんな初夏一度この高原来てみたいものだ言っていましたやっと今度その宿望かなった訣《わけ》ですまだ誰も来ていないので淋しいことはそりあ淋しいけれど毎日気持よい朝夕送っています
堀辰雄「美しい村」1933-34、冒頭
  
去年小林秀雄水道橋プラットホームから墜落して不思議な助かつたといふきいた泥酔して一升ビンぶらさげて酒ビンと一緒に墜落したこのきいた心細くなつたものだそれ小林といふ人物煮ても焼いても食へないやうな骨つぽいそしてチミツな人物心得あのだけ自動車ハネ飛ばされたり落つこつたりするやうなことないだらう思ひこんでゐたからそれといふ人間自動車ハネ飛ばされたり落つこつたりしすぎるからのアコガレ的な盲信でもあつた思へば然しかう盲信したのは甚しい軽率で自身過去事実に於いて最もかく信ずべからざる根拠与へられてゐたのである
  
十六七こと越後親戚仏事ありモーニング着て東京でた上野駅偶然小林秀雄一緒なつた新潟高校講演行くところ二人上越線食堂車のりこみ下車する越後川口といふ小駅までのみつゞけたやうに弱いには食堂車ぐらゐ快適なないので常に身体ゆれてゐるから消化してもたれることなく気持よく酔ふことができる酔つた小林酔つた小林仏頂面似合はず本心やさしい親切なから下車するくるあゝ持つてやると云つて荷物ぶらさげて先に立つて歩いたそこで小林ドッコイショ踏段おいた荷物ありがたうぶらさげて下りて別れたのである山間小駅さすがに人間乗つたり降りたりしないところと思つて感心した第一駅員ゐやしない人ッ子一人ゐないこれ徹底的にカンサンなあるもの人間乗つたり降りたりしないものだからホーム何尺ありやしない背中すぐ貨物列車あるそのうち小林乗つた汽車通りすぎてしまふ汽車なくなつた向ふ側よりも一段高いホンモノプラットホーム現はれた人間だつてたくさんウロウロしてゐらああのとき呆れたプラットホーム反対側降りたわけではないので小林秀雄下ろしたのである
坂口安吾教祖文学」1947、冒頭
「ものだ」用例(1950年代)
そうではございますねえぼっちゃまわたくし一緒奉公していた年上家政婦教えられたんでございますあたしたちこの言葉この態度武器なんだとね
武器?」
はい世渡り武器でございますわたくしこの言葉使うこと武装しておりました本当わたくし言葉武装すること家政婦なるんでございますそう考えるわたくしずっと楽になりました
中略
わたくし申し上げたかったのは誰でも武装するものだということでございますただ武装するそのによって違います着るいれば鉄砲持ついます空手習ういるでしょうそしてどう武装しているによって歩く場所違ってまいります
(宮部みゆき「東京下町殺人暮色」1994)
  
寒さ緩み陽気感じられるようになってきました季節サクラをはじめウメモモなど多く木々咲かせます
  ところでこれらなぜ一斉に咲くのでしょうなんて暖かくなれば咲くものだと思うかもしれません確かに気温上昇重要ですただ皆さん咲かせるいつその準備しているご存じです実は開花するにはすでにとなる花芽《はなめ》)作られ咲かせる準備できているのですそう考えるまで待って一斉に咲くというのは不思議ではありませんか一体どういう仕組みなのでしょう
  サクラウメなど成長抑える休眠物質作りますそれ花芽たまる落ち花芽休眠という期間入りますこの期間花芽成長しません休眠から目覚めるには一定低温期間経験すること必要です。「一定低温期間とはどれくらいというそれによって違うことわかっています例えばサクラソメイヨシノでは5前後気温900時間必要だされていますそして休眠から目覚める成長抑えていた休眠物質減り始めますそれなくなる成長再開なって一日平均気温1213なる開花するのです
  一斉に咲く仕組みわかりいただけました私たち寒さ去るのを待つばかりです咲くためにはその寒さ必要なものなのです
(記事、2012、冒頭