めく 接尾語

29/06/2015 01:20

接尾
動詞活用
名詞副詞形容詞形容動詞語幹に付いて。]
そのような状態になる、それらしい、それに似た様子だ、などの意を表す。
春めく 夏めく 秋めく ざわめく ときめく ひしめく ほのめく なまめく つゆめく(梅雨めく) ことさらめく ちらめく 今更めく

用例

[発表年順]
  
このあいびき先年仏蘭西《フランス》死去した露国では有名な小説家ツルゲーネフという端物《はもの》です今度徳富先生依頼訳してみました訳文我ながら不思議とソノ何んだこれでも原文きわめておもしろいです
  
九月中旬というころ一日自分さる座していたことあッた今朝から小雨降りそそぎその晴れ間にはおりおり生ま煖《あたた》かな日かげ射してまことに気まぐれな空ら合いあわあわしい白ら雲空ら一面棚引くかと思うとフトまたあちこち瞬く間雲切れしてむりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧《さか》し気《げ》に見えるごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空のぞかれた自分座して四顧してそして傾けていた木の葉頭上幽《かす》かに戦《そよ》いだその聞たばかりでも季節知られたそれ春先するおもしろそうな笑うようなさざめきでもなくゆるやかなそよぎでもなく永たらしい話し声でもなくまたおどおどしたうそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかッたただようやく聞取れる聞取れぬほどしめやかな私語であったそよ吹く忍ぶように木末伝ッた照る曇るじめつくようす間断なく移り変ッたあるいはそこありとあるすべて一時に微笑したように隈なくあかみわたッてさのみ繁くないほそぼそとした思いがけず白絹めくやさしい光沢《つや》帯び地上散り布《し》いた細かな落ち葉にわかに映じてまばゆきまでに金色《こんじき》放ち頭《かしら》かきむしッたような「パアポロトニク」(類いみごとなしかも熟《つ》えすぎた葡萄めく帯びた際限なくもつれからみして目前透かして見られた
ツルゲーネフ作、二葉亭四迷訳「あひゞ」1888、冒頭
  長いこと物蔭にはまだ殘つて居り村端れ一片《ひとつ》青んでゐない晴れたそことなく霞んで雪消《ゆきげ》泥濘《ぬかるみ》處々乾きかかつためい薄ら温かく吹いてゐたそれ明治四十四月一日ことであつた
  
學年始業式なので、S尋常高等小學校代用教員、千早健《ちはやたけし》平生より少し早目に出勤した白墨《チヨオク》汚れた木綿紋附擦り切れた長目穿いてクリクリした三分刈帽子冠らず――帽子有つてゐなかつた。――亭乎《すらり》とした眞直にして玄關から上つて行く早出生徒毎朝控所彼方此方から驅けて來て恭しく迎へる中には態々叩頭《おじぎ》する許《ばつか》り其處待つてゐるあつたその殊に多かつた平生三倍四倍……遲刻勝な成績惡いさへ交つてゐた。健直ぐ其等心々溢れてゐる進級喜悦想うたそして何がなく曇つた
  
その解職願してゐた
石川啄木「足跡」1909、冒頭
  ある又七郎女房言いつけてふけてから阿部屋敷見舞いやった阿部一族叛いて籠城めいことしているから同志交通することが出来ないしかるに最初からの行きがかり知っていてみれば一族もの悪人として憎むことは出来ないましてや年来懇意にした間柄である婦女としてひそかに見舞うのはよしや後日発覚したとて申しわけ立たぬことでもあるまいという考え見舞いにはやったのである女房聞いて喜んで心尽くし取り揃えてふけておとずれたこれなかなか気丈なもし後日発覚したら自身引き受けて迷惑かけまい思ったのである
森鷗外阿部一族」1913)
  世紀以来仏教入ってきますところがはじめから大乗仏教非常に高度なもの入ってくる唯識などという仏教なかでも最高に論理的でむずかしいものなどただちに入ってくるそれやがて空海などによって土着的なものつなげられる最近研究では空海入唐私度僧山林修行僧として山野うろうろしていたらしく土着的なもの深く根ざした信仰形態かかわりもっていたのではないかいわれていますこのあたりから徐々に土着自然性にじみ出てきて鎌倉期親鸞まで下る自然法爾というような生地丸出しようなところにまでくる
  もう一つ儒教です儒教ちょうど徳川幕府発足した一六〇〇ごろから仏教とって代わる支配的な知的形態としての地位確立しはじめるのですがこれ仏教唯識法相宗中観三論宗ようなややこしいものいきなり受け入れたようにはじめから朱子学という非常に高度な論理形態忠実に受け入れているそれ伊藤仁斎において徹底的な朱子学批判通してかなりシンプルになりある意味仁斎学風継承した荻生徂徠古文辞学なるその徂徠古文辞学方法影響もと本居宣長国学説いたころにはもう自然帰っているわけです同じころ安藤昌益自然帰れという思想生まれるそこへ収束してゆくのです高度なもの入っても鎌倉時代江戸時代という江上先生いわれる内面化段階日本人落着きいいところ収斂してきてそこで一種独創めいものできる
(上山春平(
石田英一郎・上山春平・江上波夫・増田義郎「座談会日本人好奇心エネルギー源泉」『日本文化構造』1972)
[発表年未詳・筆者生年順]
二夜三夜傘さげ会へば
梅雨めき
石田波郷(1913-1969))