ごとくに(如くに) 活用形

15/11/2012 08:30

助動詞ごとくなり(如くなり)」の連用形

用例

高き山も、麓のちりひぢよりなりて、あま雲たなびくまで、おひのぼれるごとくに、この歌もかくのごとくなるべし
(「古今和歌集」913)
海の上、昨日のごとくに風波見えず
紀貫之土佐/土左日記」935?)
このあいびき先年仏蘭西《フランス》死去した露国では有名な小説家ツルゲーネフという端物《はもの》です今度徳富先生依頼訳してみました訳文我ながら不思議とソノ何んだこれでも原文きわめておもしろいです
九月中旬というころ一日自分さる座していたことあッた今朝から小雨降りそそぎその晴れ間にはおりおり生ま煖《あたた》かな日かげ射してまことに気まぐれな空ら合いあわあわしい白ら雲空ら一面棚引くかと思うとフトまたあちこち瞬く間雲切れしてむりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧《さか》し気《げ》に見えるごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空のぞかれた自分座して四顧してそして傾けていた木の葉頭上幽《かす》かに戦《そよ》いだその聞たばかりでも季節知られたそれ春先するおもしろそうな笑うようなさざめきでもなくゆるやかなそよぎでもなく永たらしい話し声でもなくまたおどおどしたうそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかッたただようやく聞取れる聞取れぬほどしめやかな私語であったそよ吹く忍ぶように木末伝ッた照る曇るじめつくようす間断なく移り変ッたあるいはそこありとあるすべて一時微笑したように隈なくあかみわたッてさのみ繁くないほそぼそとした思いがけず白絹めくやさしい光沢《つや》帯び地上散り布《し》いた細かな落ち葉にわかに映じてまばゆきまでに金色《こんじき》放ち頭《かしら》かきむしッたような「パアポロトニク」(類いみごとなしかも熟《つ》えすぎた葡萄めく帯びた際限なくもつれからみして目前透かして見られた
ツルゲーネフ作・二葉亭四迷訳「あひゞ」1888、冒頭)
二階手摺湯上り手拭《てぬぐい》懸けて日の目多い見下すと、頭巾被《かむ》って白い疎《まば》らに生やした下駄歯入通る古い天秤棒括りつけてへらかんかんと敲くのだがそのふと思い出した記憶ように鋭いくせにどこか抜けている爺さん筋向《すじむこう》医者傍《わき》来て例の冴え損なったかんと打つと、真白咲いたから小鳥飛び出した歯入気がつかずに青い竹垣なぞえ向《むこう》廻り込んで見えなくなった《ひとはばたき》に手摺まで飛んで来たしばらく柘榴細枝留っていたが、落ちつかぬ見えて二三身ぶり易《か》える拍子に、ふと欄干倚りかかっている自分見上げるや否やぱっと立った煙《けむ》るごとくに動いたと思ったら小鳥もう奇麗な手摺桟《さん》踏まえている
夏目漱石「心」『永日小品』1909、冒頭)
その刹那おじ相手叫んで前髪七之丞電光ごとくに飛んで出て、又七郎太股ついた入懇弥五兵衛深手負わせて覚えず弛んでいたので手錬又七郎少年かかったのである。又七郎棄ててその場倒れた
森鷗外阿部一族」1913)