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石段(いしだん)

17/07/2015 05:45

→「いしだん(石段)

用例

 切れたから、立ち留まって仰向くと、火の粉もう通る置く澄み切って深いに、数を尽くして飛んで来ては卒然消えてしまうかと思うとすぐあとから鮮なやつが、一面吹かれながら追《おっ》かけながらちらちらしながら熾《さかん》あらわれるそうして不意消えて行くその飛んでくる方角見ると、大きな噴水集めたように一本なって隙間なく寒い染めている二三大きなある長い石段途中太い静かな夜《よ》張って土手から高く聳えているその後《うしろ》から起る黒い動かぬことさらに残して余る真赤である火元この高い土手に違《ちがい》ないもう一町ほど行って上《あが》れば現場出られる
夏目漱石「火事」『永日小品』1909、冒頭)
 住むいなくなった木造民家ほとんど改修せずに使うデイ・サーヴィス施設だったもちろんバリアフリーからはほど遠い玄関には石段あり玄関引く玄関間ある脱いでよいしょ上がるこんどそれ開けてみな集《つど》っている居間入る軽い認知症患っているその女性お菓子おしゃべり興じている老人たちにはすぐに入れず呆然と立ちつくすなんとなくいたたまれず折ってしゃがみかけるとっさどうぞいざりながら自分使っていた座布団差しだす伸びる。「おかまいなく座布団押し戻し、「言うておす遠慮せんといっしょお座りやすふたたび座布団押し戻される…。
(鷲田清一「身ぶり消失」2005)