せずに 連語

16/07/2015 18:19

連語
動詞する(為る)す(為)未然形」+連語ずに」。

用例

「せずに」用例(1913)
オレ親方ヒダ随一名人うたわれたタクミであった夜長長者招かれたのは老病死期近づいただった親方身代りオレスイセンして
これまだ二十若者小さいガキころからオレ膝元育ち特に仕込んだわけでもないオレ工夫骨法大過なく会得しているです五十仕込んでもダメダメもの。青笠《あおがさ》古釜《ふるかま》くらべる巧者ではないかも知れぬこもった仕事します造ればツギ手仕口オレ気附かぬ工夫編みだしたこともある仏像刻めばこれ小僧訝かしく思われるほど深いイノチ現しますオレ病気ために余儀なく此奴代理差出すわけではなくて、青笠古釜競って劣るまいオレ見込んで差出すもの心得て下さるように
きいていてオレ呆れてただまるくせずにいられなかったほど過分言葉であった
オレそれまで親方ほめられたこと一度なかったもっともほめたこともない親方ではあったそれにしてもこの突然ホメ言葉オレまったく驚愕させた当のオレそれほどから多く古い弟子たち親方モウロクして途方もないこと口走ってしまったものだ云いふらしたのはあながち嫉みせいだけではなかったのである
坂口安吾夜長」1952、冒頭
 思い出すしばらく訪れた高齢者グループホームこと
 住むいなくなった木造民家ほとんど改修せずに使うデイ・サーヴィス施設だったもちろんバリアフリーからはほど遠い玄関には石段あり玄関引く玄関間ある脱いでよいしょ上がるこんどそれ開けてみな集《つど》っている居間入る軽い認知症患っているその女性お菓子おしゃべり興じている老人たちにはすぐに入れず呆然と立ちつくすなんとなくいたたまれず折ってしゃがみかけるとっさどうぞいざりながら自分使っていた座布団差しだす伸びる。「おかまいなく座布団押し戻し、「言うておす遠慮せんといっしょお座りやすふたたび座布団押し戻される…。
 和室居間立ったままでいること不自然である。「不自然であるのはいうまでもなく人体にとってではない居間という空間においてである居間という空間求める挙措立ったままでいること合わない高みからひとたち見下ろすこと反するだからいたたまれなくなって腰を下ろすこれからだ憶えているふるまいであるからだひとりでにそんなふう動いてしまう
 からだなかあるというのはそういうことからだ動き空間との関係ということは同じくそこいるひとびととの関係ある整えられているということ
(鷲田清一「身ぶり消失」2005)