切って(きって) 連語

21/08/2015 10:12

きって(切って・斬って・伐って・截って・剪って・鑽って

用例

 五助は人間言うように言った
おぬし畜生じゃから知らずにおるかも知れぬが、おぬしさすって下されことのある殿様は、もう亡くなり遊ばさそれでなってなされお歴々きょう切ってなさるおれ下司《げす》あるが、扶持《ごふち》を戴いてつないだお歴々変ったことはない殿様かわいがって戴いたありがたさ同じことじゃそれでおれ切って死ぬるのじゃおれ死んでしもうたおぬし今から野ら犬なるのじゃおれそれかわいそうならん殿様をしたは岫雲院で井戸飛び込んで死んだどうじゃおぬしおれ一しょ死のうとは思わんかいもし野ら犬なって生きてたい思うたこの握り飯食ってくれい死にたい思うなら食う
 こう言って見ていたが、は五助のばかり見ていて握り飯食おない
森鷗外阿部一族」1913)
 二三立つと、弥一右衛門けしからん聞え出して来た言い出したこと知らぬが、「阿部は許しない幸い生きているみえる許しのうても追腹切られぬはずがない、阿部のとは違うみえる瓢箪でも塗って切ればよいというのである。弥一右衛門は聞いて思いのほかこと思った悪口言いたくばなんとも言うよいしかしこの弥一右衛門を竪から見ても横から見ても惜しいとは、どうして見えようげに言えば言われたものかなよいそんならこの瓢箪塗って切って見しょう
森鷗外阿部一族」1913)
 
阿部屋敷討手向う前晩なった柄本又七郎つくづく考えた阿部一族自分親しい間柄であるそれで後日咎めあろうとは思いながら女房見舞いまでやったしかしいよいよ明朝討手阿部家来るこれ逆賊征伐せられるお上同じことである御沙汰には火の用心せい手出しするな言ってある武士たるものこの場合懐手して見ていられたものではない情け情けであるおれにはせんようある考えたそこで更闌けて抜き足して後ろ口から薄暗い出て阿部家との竹垣結び縄ことごとく切っておいたそれから帰って身支度して長押かけた手槍おろし鷹の羽付いた払って明ける待っていた
森鷗外阿部一族」1913)
 隣家柄本又七郎数馬ものあける物音聞いて前夜結び縄切っておいた竹垣踏み破って駈け込んだ毎日ように往き来して隅々まで案内知っているである手槍構えて台所からつとはいった座敷締め切って籠み入る討手もの一人一人討ち取ろうとして控えていた一族裏口けはいするのにまずついた弥五兵衛であるこれ手槍提げて台所見に出た
森鷗外阿部一族」1913)
森鷗外阿部一族」1913)