出して(だして)

04/12/2011 01:47

だして(出して)

用例

自分この下宿出る週間ほどに、蘇格蘭《スコットランド》から帰って来たその自分主婦によって紹介された二人日本人倫敦山の手の、とある小さな偶然落ち合ってしかもまだ名乗り換した事がないので身分も、素性も、経歴分らない外国婦人藉りてどうか何分頭を下げたのは、考える今もって気がするそのこの令嬢黒い着ていた骨張って脱けたような出してさんこれさん云ったが、全く云い切らない先にまた一本相手寄せてさんこれさんと、公平双方等分引き合せた
夏目漱石「過去の匂い」『永日小品』1909、冒頭)
五六寄って火鉢囲みながらしていると、突然一人青年来た聞かず会った事もない全く未知である紹介状携えずに取次通じて面会求めるので座敷招じたら青年大勢いるへ、山鳥提げて這入って来た初対面挨拶済むと、その山鳥真中出してから届きましたからといってそれ当座贈物した
夏目漱石「山鳥」『永日小品』1909、冒頭)
女房あとからそっとはいって出して当てさせたとき、長十郎は「ううん」とうなって寝返りだけで、またかき続けている
森鷗外阿部一族」1913)
田中は阿菊物語《おきくものがたり》残した菊がで、忠利が愛宕山《あたごさん》学問往ったとき幼な友達であった。忠利がそのころ出家ようしたのを、ひそかに諫めたことがあるのち知行二百側役勤め算術達者用に立った老年なってからは、君前頭巾かむったまま安座すること免《ゆる》さいた当代追腹願って許されので六月十九小脇差突き立ててから願書出してとうとう許され。加藤安太夫が介錯した
森鷗外阿部一族」1913)