ではない 連語

18/08/2015 16:04

連語
否定の判断を表す。でないじゃない。изразява отрицание; не е
嘘では/じゃないよ。Не е лъжа; не лъжа. あまり好きでは/じゃないмного не ми харесва; много не обичам

じゃないでない・ のではない(のでは無い)ではありません

用例

「ではない」用例(1909)
「ではない」用例(1913)
  子供愛読書西遊記第一であるこれ等今日でも愛読書である比喩談としてこれほど傑作西洋には一つもないであらうと思ふ名高いバンヤン天路歴程など到底この西遊記ではないそれから水滸伝愛読書一つであるこれ今以て愛読してゐる一時水滸伝一百豪傑名前悉く諳記してゐたことがあるその時分でも押川春浪冒険小説何かよりもこの水滸伝だの西遊記だのといふ遥かに面白かつた
芥川龍之介愛読書印象」1920、冒頭
「ではない」用例(1940年代)
  オレ親方ヒダ随一名人うたわれたタクミであった夜長長者招かれたのは老病死期近づいただった親方身代りオレスイセンして
これまだ二十若者小さいガキころからオレ膝元育ち特に仕込んだわけでもないオレ工夫骨法大過なく会得しているです五十仕込んでもダメダメもの。青笠《あおがさ》古釜《ふるかま》くらべる巧者ではないかも知れぬこもった仕事します造ればツギ手仕口オレ気附かぬ工夫編みだしたこともある仏像刻めばこれ小僧訝かしく思われるほど深いイノチ現しますオレ病気ために余儀なく此奴代理差出すわけではなくて、青笠古釜競って劣るまいオレ見込んで差出すもの心得て下さるように
  
きいていてオレ呆れてただまるくせずにいられなかったほど過分言葉であった
  
オレそれまで親方ほめられたこと一度なかったもっともほめたこともない親方ではあったそれにしてもこの突然ホメ言葉オレまったく驚愕させた当のオレそれほどから多く古い弟子たち親方モウロクして途方もないこと口走ってしまったものだ云いふらしたのはあながち嫉みせいだけではなかっのである
坂口安吾夜長」1952、冒頭
 工芸品についていうどこでもその発達道順だいたい決まっています材料次第によくしていくとか技術発達させていくとかいう行き方ですところが日本では多く場合材料ちっともよくならないならならならままで発達させていくより高級な材料たとえば金銀とか宝石など応用することなどあまり考えない技術にしても必ずしも高度技術変えていくという行き方ではない同じ技術名人芸的に洗練してゆくやり方ですそれでいて芸術品作るこれ一種自然主義です
江上波夫石田英一郎・上山春平・江上波夫・増田義郎「座談会日本人好奇心エネルギー源泉」『日本文化構造』1972)
 子どもたち集まって何かして遊ぼうとするとき隠れん坊しないで複数オニオニすることには見過ごし難い意味ありそうだ隠れん坊藤田省三或る喪失経験――隠れん坊精神史という論文(『精神史的考察平凡社一九八二所収述べたように人生凝縮して型取りした身体ゲームであるオニひとり荒野彷徨隠れるどこか籠るという対照的な構図あるけれどもいずれも同じ社会から引き離される経験でありオニ隠れていた見つけることによって仲間いる社会復帰隠れたオニ見つけてもらうことによって擬似的な世界から蘇生して社会戻ることができる隠れん坊子ども遊び世界から消えること子どもたち相互役割演じ遊ぶことによって自他再生させつつ社会復帰する演習経験失うということであるたしかに複数オニオニおこなわれているけれどもそれらもはや普通隠れん坊退屈さ救うためにアクセントつけたといったていどことではない
 小学六年男の子から聞いた翻案すれば、「複数オニ演習主題裏切りであるオニつぶってかぞえている子どもたちいっせいに逃げるそれぞれ隠れ場所工夫しても同じ方向逃げれば近くいる同士互いにどの辺隠れている知っているそのとき一方見つかれば即座にオニというスパイ変じて寸秒仲間だった隠れ家あばくことになる近く隠れたとの仲間意識裏切り裏切られる恒常的な不安によって脅かされている連帯裏切りとの相互変換半所属不安産み出しその不安抑えこもうとして裏切り者残党狩りいっそう過酷なものなるオニ聖なる媒介者であることやめて秘密警察転じ隠れる一人ひとり癒し難い離隔深めつつ仲間スパイ抱えた逃亡者集団化す
 住むいなくなった木造民家ほとんど改修せずに使うデイ・サーヴィス施設だったもちろんバリアフリーからはほど遠い玄関には石段あり玄関引く玄関間ある脱いでよいしょ上がるこんどそれ開けてみな集《つど》っている居間入る軽い認知症患っているその女性お菓子おしゃべり興じている老人たちにはすぐに入れず呆然と立ちつくすなんとなくいたたまれず折ってしゃがみかけるとっさどうぞいざりながら自分使っていた座布団差しだす伸びる。「おかまいなく座布団押し戻し、「言うておす遠慮せんといっしょお座りやすふたたび座布団押し戻される…。
(鷲田清一「身ぶり消失」2005)