係助詞・接続助詞・終助詞

13/01/2016 22:46

1.
係助
[種々《しゅじゅ》の
に付《つ》く。]
1-1.
「…も…も」の形《かたち》をとることが多《おお》い。
類似《るいじ》した事物《じぶつ》を幾《いく》つか取《と》り出《だ》し、並列《へいれつ》・列挙《れっきょ》して提示《ていじ》する。
木も草も枯れた 右も左もわからない 血も涙もない男 野にも山にも春が来た
1-2.
他《ほか》にも類似《るいじ》の事物《じぶつ》が存在することを言外《げんがい》にほのめかす形《かたち》で、ある事物《じぶつ》を提示《ていじ》する。もまた。
国語も好きだ 私も知りません 君のことも頼んでおいたよ 彼女は自分のこともろくにできないくせに人に口出しばかりする
1-3.
不定称の指示語《しじご》に付《つ》く。]
全面的否定《ぜんめんてきひてい》、または全面的肯定《ぜんめんてきこうてい》を表《あらわ》す。

何も知らないнищо не знам 誰もが知っていることнещо,което всеки знае 疑わしいことは何もない。Няма нищо съмнително. どこもいっぱいだ。Навсякъде е пълно.
1-4.
極端《きょくたん》な事物《じぶつ》を提示《ていじ》し、強調《きょうちょう》する。さえも。
聞いたこともない話 いつも強気の彼も今度だけは参ったようだ
1-5.

動詞連用形や動作性《どうさせい》名詞に付《つ》く。]
打消し
と呼応《こおう》して、強《つよ》い否定《ひてい》の意《い》を表《あらわ》す。
思いもよらぬ話 返事/振り向きもしない 一瞥もくれない
1-6.
詠嘆《えいたん》・驚《おどろ》き・感動《かんどう》の意《い》を表《あらわ》す。
書きも書いたり、一日5000枚 こうも暑くてはやりきれない
1-7.
或る事柄を示《しめ》し、その中《なか》のある一部分《いちぶぶん》に限定《げんてい》する意《い》を表《あらわ》す。といっても。のうちの。
中世も鎌倉のころ 東京も西のはずれ
1-8.
係助詞こそ」「」「や」「」などを伴《ともな》って。]
2.
接助
2-1.

形容詞形容詞型《がた》活用語連用形に付く。]
或る動作《どうさ》・作用《さよう》や状態《じょうたい》を述《の》べる時《とき》、その量《りょう》や程度《ていど》について極端《きょくたん》な場合《ばあい》あるいは限界《げんかい》となる場合《ばあい》を想定《そうてい》するのに用《もち》いられる。とも。ても。
遅くも今年中には完成するだろう 見たくも見られない
2-2.

動詞動詞型《がた》活用語連体形に付く。]
逆接《ぎゃくせつ》の確定条件《かくていじょうけん》を表《あらわ》す。けれども。ても。
努力するも報われなかった
3.
終助
[主《おも》に
上代の用法《ようほう》で、その後《ご》は「かな」に代《か》わった。係助詞終助詞的《てき》用法《ようほう》ともいう。文末《ぶんまつ》で、活用語終止形助詞接尾語「く」に付《つ》く。]
感動《かんどう》・詠嘆《えいたん》の意《い》を表《あらわ》す。体言を受《う》ける場合《ばあい》、他《た》の係助詞が上接《じょうせつ》して「かも」「やも」「ぞも」「はも」などの形《かたち》をとる。ことよ。なあ。

→かも[連語]・やも[連語]・ぞも[連語]・はも[連語]・ まれ[連語]・もこそ[連語]・もぞ[連語]・もや[連語]・もか [連語]

用例

1-1.
「も[係助詞・接続助詞・終助詞]」1-1.用例
1-2.
み吉野の山のあらしの寒けくにはたや今夜《こよひ》 我《あ》がひとり寝む
(「万葉集奈良時代
心なき身にあはれは知られけり《しぎ》立つ沢のの夕暮れ
西行山家集平安末期
 通る見合せてその間々にはこんな思っているうちに岡田次第に親しくなって週間立ったであった或る夕方例の通る無意識に脱いでしたその微白いさっと赤く染まって寂しい微笑華やかな笑顔なったそれから岡田極まってして通る
森鷗外」1913)
1-3.
、小さきものは皆うつくし
清少納言枕草子平安中期
なにあらむもの給へ
(「落窪物語平安中期
 中国歴史形式精神創り出した司馬遷というなどこの世絶対者というもの認めていないどんな権力者どんな帝王どんな軍人政治家もと正せばまた本体洗ってみれば不完全な人間にすぎないこと証明するために一生ついやしたようなである英雄豪傑たち強いことつきつめればかえって人間弱さなり正しさ固まっているような実はどこか不正敗れ不正傾いているそのようなあさましさとして記録したこと自身不幸な境遇にもよるのだがこれ後々までも中国文学者流れて絶えぬこととなった
武田泰淳中国文学人間学1948
1-4.
「も[係助詞・接続助詞・終助詞]」1-4.用例
1-6.
限りなく遠く来にけるかなとわびあへるに
(「伊勢物語平安時代
いかめしく尋ね給ふものかな
心敬ささめごと」15世紀中頃)
 阿部一族喜び非常であった世間咲き歌うであるのに不幸にして神仏にも人間にも見放されてかく籠居している我々であるそれ見舞うてやれというその言いつけ守って来てくれる実にありがたい心がけ心から感じたたち流してこうなり果てて死ぬるからは世の中誰一人菩提弔うてくれるものあるまいどうぞ思い出したら一遍回向してもらいたい頼んだ子供たち門外一足出されぬのでふだん優しくしてくれた柄本女房見て右左から取りすがってたやすく放して帰さなかった
森鷗外阿部一族」1913)
2-2.
「も[係助詞・接続助詞・終助詞]」2-2.用例
3.
佐保山をおほに見しかど今見れば山なつかし風吹くなゆめ
(「万葉集奈良時代
春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影にうぐひす鳴く
(「万葉集奈良時代
恋せじと御手洗≪みたらし≫河にせしみそぎ神はうけずぞなりにけらし
(「古今和歌集」913)