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町(まち)

28/05/2015 16:27

→「まち(町・街)

用例

 越後三条生れなり兼ねたり伯父春庵とて医師なりよりは伯父愛せられて幼きより手習学問こと皆な伯父世話なりし自ら言う異ななれど物覚えよく聞て二三知るほどなりしゆえ伯父なお入れてこのこそ穂垂という苗字知らせまたその生国としてこのをも挙るものなれとていよいよ珍重して教えられ逢えばその吹聴さるる嬉しき思いますます学問入れしゆえ神童言われ十三小学校助教なれり名誉伯父面目ためには三条町幅狭きようにてこのばかりか近郷褒め草ある県令学校巡廻あり講義聴かれて天晴慧しきかなこれまで巡廻せし学校生徒うち比べるなし校長語られたりこの洩れ聞きてさてはこの冠たるのみならず新潟県下第一俊傑なりしこの県下第一ならば全国英雄集まる東京出るとも第二流には落つまじ俄かに気強くなりて密かに我と握りて打笑みたりこの頃考えには学者政治家などという区別考えなく豪傑英雄というのみにはありしなりさりければなおさらに学問励み新たに来る教師には難問かけて閉口させにはにも伯父にも開かせぬなり十五新潟出て英学せし教師教うるところ低くして満足せず八大家文読み論語さえ講義天下経綸せんとするオメオメと持つ持つ風船乗ってしつつ廻るのと児戯に類する学ばんや東京出でばかかるあるまじ深淵あらねば潜れず東京出て我が才識研ぎ驚かすほど大功業建てる天下第一大学者ならん一詩のこして新潟学校去り在所かえりて伯父出京語りし伯父顰め、「東京にて勉学望むところなりしかしまだ早し卑近なりとて知り覚ゆるだけ方便なり二三新潟にて英学なしその上にて東京出でよ学問にはよらじ上磨きだけ東京にてせよ止められ屈して一年独学したれどはしる如き出京志し弱き手綱繋ぐべきにあらず十七なりし決して伯父乞いもし許されずは出奔せん覚悟様子それ悟りて左まで思わば出京せよ許可得たり
饗庭篁村良夜」1889、冒頭
「町(まち)」用例(1909)
有島武郎或る女」1919、冒頭
 日本古代文化に就て殆んど知識持っていないブルーノ・タウト絶讃する桂離宮見たことなく玉泉大雅堂竹田鉄斎知らないのである況んや、秦蔵六≪はたぞうろく≫だの竹源斎師など名前すら聞いたことなく第一めったに旅行することがないので祖国あのこの風俗山河知らないのだタウトによれば日本に於ける最も俗悪な都市という新潟市生れ蔑み嫌うところの上野から銀座へのネオン・サイン愛す茶の湯方式など全然知らない代りに猥≪みだ≫りに酔い痴≪し≫れることをのみ知り孤独家居いて床の間などというもの一顧与えたこともない
坂口安吾日本文化私観」1942冒頭
鶴見俊輔戦後日本大衆文化:1845~1980年」1984)