わけ(訳)

27/12/2015 23:19

[「分け」と同源。]
アクセントけ]
1.
なぜそういう状態になったかという理由。その事柄が成立する根拠。причината за извършването на дадено действие или достигането до дадено състояние; основание
断ったわけを聞くпитам каква е причината за (нечий) отказ 断ったのにはわけがある。Имам си причина да откажа. わけもなく泣けてくるразплаквам се без причина
2.
そういう結果に至ったいきさつ。事の次第。事情。обстоятелствата/ курсът на нещата, в следствие на който се е стигнало да съответния резултат/ положение
これには深いわけがある どうしたわけか、彼女は今日きげんが悪い そんなわけで今はソフィアに住んでいる。Поради това стечение на обстоятелствата сега живея в София.
3.
言葉などの表す意味。内容。смисъл; значение (на дума и пр.); съдържание
諺のわけを調べるпроверявам значението на поговорка 言っていることのわけがわからない。Не разбирам смисъла на това, което ми казваш. わけも分からずに暗唱するのは愚かなことだ。Глупаво е да се говори наизуст, без да се вникне в смисъла.
4.
物事の道理。すじみち。条理。常識。логика (на нещата); логическа връзка; здрав разум; смисленост
わけのわかった人разумен човек わけのわからない人 わけを説明する
5.
[「p→q」という論理が成り立つという含意で。わけだ(訳だ)の形で。]
結果として、それが当然であること。当然そうなるはずであること。また、あらかじめそうなるように仕組んだこと。използва се, за да покаже, че даден резултат е естествен/ че би следвало да стане така
これで枕を高くして眠れるというわけだ あの場面でとりなし役が出て来るわけだったのだ
6.
深い事情。特に男女間の隠れた事情・いきさつ。いわく。また、情事。дълбока връзка; най-вече за скрити отношения, обстоятелства и пр. между мъж и жена; също, любовна връзка
わけのありそうな二人мъж и жена, между които изглежда има нещо
7.
[「p→q」という論理が不可能であるという含意で。わけにはいかない(訳にはいかない)の形で。]
そうすることはできない。筋道ではない。(в израза "わけにはいかない") не става; не мога да...; не върви да...
私がやらないわけにはいかないだろう。Не мога/ не върви да не го свърша аз. 大事な時期だから、風邪だからといって休むわけにはいかない。Важен период е и не мога/ не върви да кажа, че съм настинал и да отсъствам.
8.
[「p→q」という論理が成り立たないという含意で。わけではない(訳ではない)の形で。]
否定・断定をやわらげた言い方。(в израза "わけではない") смекчен начин на изразяване на отрицание или отказ
だからといって君を恨んでいるわけではない。И така да е, това не означава, че те мразя/ че изпитвам неприязън към теб. 別に反対するわけではないが...Не че съм против... 絶対に嫌だというわけでもない。Не е и абсолютно да не го понасям/обичам.
9.
遊里のしきたりや作法。установените практики, привичките, етикетът във веселите квартали

→言い訳・入り訳・内訳・事訳・諸《しょ》訳・申し訳・訳有る・訳が違う・訳が無い・
わけだ(訳だ)わけではない(訳ではない)わけではなかった(訳ではなかった)わけでもない(訳でも無い)わけでもなかった(訳でもなかった)わけにはいかない(訳にはいかない)・訳は無い・訳も無い・訳を立てる

用例

1.
井原西鶴作、宮本百合子(1899-1951)訳「はげたる娌入長持」『元禄時代小説一巻本朝二十不孝ぬきほ言文一致訳)』、冒頭
2.
  には誰がにも好きな人、いやというものあるそしてなぜ好きいや穿鑿してみるとどうかすると捕捉するほど拠りどころない。忠利が弥一右衛門を好かぬのも、そんなわけであるしかし弥一右衛門というどこか親しみがたいところ持っているに違いないそれ親しい友達少いのでわかる誰でも立派として尊敬はする。しかしたやすく近づこう試みるものないまれに物ずきに近づこう試みるものあってしばらくするうちに根気続かなくなって遠ざかってしまうまだ猪之助といって前髪あったときたびたびしかけた何か手を借してやったりしていた年上が、「どうも阿部にはつけ入るないと言って我を折ったそこら考えてみると、忠利が自分改めたく思いながら改めること出来なかったのも怪しむ足りない
森鷗外阿部一族」1913)
4.
 
昨宵《ゆうべ》夜中《よじゅう》で、ばちばち云う聞いたこれ近所にクラパム・ジャンクションと云う停車場おおステーション》のある御蔭であるこのジャンクションには一日うちに汽車いくつか集まってくるそれ細かに割りつけて見ると、一《ひ》と列車ぐらいずつ出入《でいり》するなるその列車深いには、何か仕掛で、停車場間際来ると、爆竹ような立てて相図する信号灯光でもでも全く立たないほど暗くなるからである。Цяла нощ вчера, докато лежах в леглото, в ушите ми отекваше пукот. Това е благодарение на намиращата се наблизо възлова ж.п. гара Калпхам Джанкшън. На този ж.п. възел на ден се събират по 1000 и повече влака. Което, ако се раздели с точност, излиза, че на всяка минута влиза или излиза по един влак. Когато мъглата е гъста, всеки един от тях, посредством някакъв механизъм, щом наближи гарата сигнализира, издавайки звук, подобен на последователно избухващи бомбички. Причината е, че става толкова тъмно, че светлината на семафора – дали зелена или червена – става напълно безполезна.
夏目漱石「霧」『永日小品』1909、冒頭、В превод на Агора София, 2011)
5.
灝気《こうき》薄明《うすあかり》優《やさ》しく会釈しようとして
新しく活溌《かっぱつ》に打っている
こら下界お前ゆうべ曠《むなしゅ》うしなかった
そしてけさ疲《つかれ》直って己《おれ》している
もう快楽を以て取り巻きはじめる
断えず最高存在志ざして
力強い決心働かせているなあ
ファウスト第二部
序曲
六月十日 にて
 御無沙汰いたしました今月初めから当地滞在しておりますからよくこんな初夏一度この高原来てみたいものだ言っていましたやっと今度その宿望かなった訣《わけ》ですまだ誰も来ていないので淋しいことはそりあ淋しいけれど毎日気持よい朝夕送っています
堀辰雄「美しい村」1933-34、冒頭
 彼等自己作品一字書くとするそしてありのまま語るとする。(実際彼等大部分形式でも使用避けている)。それら今まで私小説作家比べたらとてもとは考えられぬほど膨脹変色異様なまでから離脱して行こうとする複雑な生物見えるそれら遠距離から操縦される無人ロケット機ように動くこともある死体解剖するメスようにはたらくこともあるその時々これら運動捕えるためには作家いわば絶えず極大世界から極微世界飛び移る覚悟するように風圧熱度地球自転による対象変化測定していなければならないであろう私生活記録という一見安定した苦業かくしてこれらたち活動によって内側から破られしかも外界宇宙線絶え間なく吸収することによって不安定だ未来性ある試煉ならねばならないこのような並立状態宇宙拡散した群れように眺められる場所我々立っているわけであるそのような景観一度接してしまった以上逆にそれに接する文学的個人とは全く別な以外存在許されないのだ称してもよいしたがってこの登場する小説表現形式拡大変革求めるのは伝統断続するというこましゃくれた野望からではなくきわめてささやかな日常感覚から発しているのだ確信できるのであるこれらたちにとって風俗風俗としてうけとめ書き流す小説横行まるで別世界できごとように淡い哀愁ともなって感ぜられてくるのも致しかたないことであろう
武田泰淳ささやかな感想--戦後作家並立について1952
 世界史的に見る高い文化地域伝わっていく場合そういう征服侵略伴って行なわれたのがむしろ常態だろうと思いますところが日本文化征服などとは無関係に高文化からその時々さまざまいいものいただいている珍しいです世界大勢外来文化受けとるということ外来文化きらびやかなものとか思想受けとるということだけではなくそういうもの作り上げた民族なり政治集団なり直接に乗り込んできてその社会攪乱するという事態つねに結びついているですからもたらされたものどんなに魅力的な外来文化であってもいつも素直には受けとめられないつまり外来文化流入には宿命的にそのには警戒すべき条件抱き合わせなっているという一種不安感みたいなものあるのではないかしかし日本場合その歴史的条件から征服なしにしかも外国人切り離して外国思想だけ抽象化された入ってきましたからそういう警戒心恐怖感覚いっさいない日本人外来文化に対して旺盛な好奇心もちそれすぐ模倣結びつくというのはそのへん根本的な理由あるのではないかということ考えているわけです
(増田義郎(石田英一郎・上山春平・江上波夫・増田義郎「座談会日本人好奇心エネルギー源泉」『日本文化構造』1972)
鶴見俊輔戦後日本大衆文化:1845~1980年」1984)
さー 明日内地行くんでしょ(ゆいさー)
合格祝いあげん(さーさ)
あるなら安心(つんださーぬ)
父ちゃんなんて言って?
さー 赤ちゃんだった初カット(ゆいさー)
でも思い出す(さーさ)
母ちゃんカーラー巻いてから(つんださーぬ)
待ってチョッキン
なんでなんであんた人生(でんさー)
キレイになるのはじゃない
ぬいても重ねても(ゆいさー)
根っこ染まらん(でんさー)
だからパーマ屋あるわけ
さー あの三つ編みだった(ゆいさー)
琉球舞踊続けて(さーさー)
行き飛行機空いてても(つんださーぬ)
帰り混んでのがふるさと
なんでなんであんたヒロイン(でんさー)
映して見てごらん
サイドサイドライト点けるから(ゆいさー)
彼氏心配するはず(まくとぅにつんださーぬ)
なんでなんでなのか運命(でんさー)
それでも信じる方がいい
切ってもそろえても(ゆいさー)
同じように伸びない(でんさー)
だからパーマ屋あるわけ
明日内地行くんでしょ
(ちゅんなーや作詞・作曲「パーマ屋ゆんた」2010)
6.
お作とわけがあるのと
三遊亭円朝塩原多助一代記」1876-78)
8.
  権兵衛詰衆尋ねられて答えたところこうである貴殿それがし乱心者ように思われるであろう全くさようなわけではない弥一右衛門一生瑕瑾ない奉公いたしたればこそ故殿許し得ずに切腹しても殉死者加えられ遺族たるそれがしさえ他人さきだって位牌焼香いたすこと出来たのであるしかしそれがし不肖にして同様奉公なりがたい《かみ》にも承知見えて知行割いてどもおつかわしなされたそれがし故殿にも当主にも亡きにも一族どもにも傍輩にも面目ないかように存じているうち今日位牌焼香いたす場合なりとっさ感慨迫りいっそのこと武士棄てよう決心いたした場所柄顧みざる咎め甘んじて受ける乱心などいたさぬというのである
森鷗外阿部一族」1913)
甘えている
わけではない
(青木栄瞳「野生のセロリ」1999(Ейме Аоки, "Дивата целина" 1999))
9.
色道のわけを会得せねば
歌舞伎「韓人漢文」)