まったく(全く)

13/01/2016 17:22

1.
形容詞「まったい(全い)」の連用形
2.
1.から。]
アクセント:まったく・まったくノ]
2-1.
[否定表現と呼応して。][обезателно с израз, изразяващ отрицание]
完全な否定の意を表す。決して。全然。まるっきり。ни най-малко; въобще; изобщо; никак
私はまったく酒を飲まない。Аз въобще не употребявам алкохол. 彼はこの話とはまったく関係がない。Той няма абсолютно нищо общо с това, за което говорим. まったく話にならないвъобще не може да става и дума; напълно безсмислено е да се повдига на въпрос
2-2.
2-2-1.
完全にその状態になっているさま。すっかり。完全に。すべて。изцяло; напълно
家具も壁紙もまったく一新するобновявам/сменям изцяло и мебелировката, и тапетите まったく新しい思考法напълно нов начин на мислене 回復の希望はまったく絶たれた。На надеждата за възстановяване бе сложен окончателен край. まったくの素人абсолютен/ пълен аматьор
2-2-2.
[肯定表現と呼応して。]
その事実・判断を強調する。自分の言うことにうそや誇張のないことを示す。本当に。実に。подсилва даден факт или преценка; показва, че не преувеличавам или лъжа; наистина ;абсолютно; напълно
今日はまったく暑いなあ。Днес наистина/вярно е адска жега; е, днес е ама че жега. まったくけしからん話だ。Пълни глупости!; Абсолютни безсмислици!; Абсурд! まったく彼にも困ったものだ。И с него направо в чудо съм се видял.
2-2-3.
相手の言うことに同感であることを示す。本当に。実に。изразява съгласие, единодушие със събеседника; абсолютно; напълно; наистина
まったくその通りだ/君の言う通りだ。Абсолютно е така/ абсолютно си прав; нещата стоят, точно както казваш. 「先が思いやられるね」「まったくだ」

まったくのところ(全くの所)まったくもって(全く以って)

用例

2-1.
「まったく(全く)」2-1.用例
2-2-1.
「まったく(全く)」2-2-1.用例
2-2-2.
全く其のつもりで言つたんですが
泉鏡花婦系図」1907)
  
シャルヽ・ペロー童話赤頭巾といふ名高いあります既に御存知とは思ひます荒筋申上げます赤い頭巾かぶつてゐるので赤頭巾呼ばれてゐた可愛い少女いつもやうにお婆さん訪ねて行くお婆さん化けてゐて赤頭巾ムシャムシャ食べてしまつたといふでありますまつたくたゞそれだけであります
  
童話といふものには大概教訓モラルといふもの有るものですこの童話にはそれ全く欠けてをりますそれでその意味からアモラルであるといふことで、仏蘭西では甚だ有名な童話でありさういふ引例場合屡々引合ひ出されるので知られてをります
  
童話のみではありません小説全体として見てもいつたいモラルない小説といふのがあるでせうか小説家立場としてもなにかモラルさういふもの意図なくて小説書きつゞける――さういふこと有り得ようとはちよつと想像できません
  
ところがこゝ凡そモラルといふもの有つて始めて成立つやうな童話全然モラルない作品存在するしかも三百ひきつゞいてその生命持ち多く子供多く大人生きてゐる――これ厳たる事実であります
坂口安吾文学ふるさと」1941、冒頭
  オレ親方ヒダ随一名人うたわれたタクミであった夜長長者招かれたのは老病死期近づいただった親方身代りオレスイセンして
これまだ二十若者小さいガキころからオレ膝元育ち特に仕込んだわけでもないオレ工夫骨法大過なく会得しているです五十仕込んでもダメダメもの。青笠《あおがさ》古釜《ふるかま》くらべる巧者ではないかも知れぬこもった仕事します造ればツギ手仕口オレ気附かぬ工夫編みだしたこともある仏像刻めばこれ小僧訝かしく思われるほど深いイノチ現しますオレ病気ために余儀なく此奴代理差出すわけではなくて、青笠古釜競って劣るまいオレ見込んで差出すもの心得て下さるように
  
きいていてオレ呆れてただまるくせずにいられなかったほど過分言葉であった
  
オレそれまで親方ほめられたこと一度なかったもっともほめたこともない親方ではあったそれにしてもこの突然ホメ言葉オレまったく驚愕させた当のオレそれほどから多く古い弟子たち親方モウロクして途方もないこと口走ってしまったものだ云いふらしたのはあながち嫉みせいだけではなかったのである
坂口安吾夜長」1952、冒頭