ない(無い・亡い) 形容詞

26/11/2015 18:15

][なし
アクセントい]
1.
存在しない。完全な非存在場合も、或る場面に不在場合もある。липсвам; няма ме
ここにあったノートがない。Тетрадката, която беше тук, я няма. ほめられて怒る者はない。Няма човек, който да се разсърди заради това, че са го похвалили. あなたのやり方には愛がない。Няма любов в твоя начин на вършене. 神も仏もないものか
2.
起こらない。起きない。行われない。няма; не се се състоя
今日は講義/公演/電車/バス/市電がない。Днес няма лекция/представление/влак/автобус/трамвай.
3.
所有していない。нямам; не притежавам
3-1.
が財産などを所有していない。
いまお金がない。Нямам пари. 彼には住む所もないし家族もない。Той няма нито дом, нито семейство.
3-2.
がしかるべき属性を欠いている。нямам/не притежавам/липсва ми (дадено качество и пр.)
あの人には信用/風格/貫禄/花がない 意味のない話разговор, който няма смисъл 魅力のない小説роман, на който му липсва чар
3-3.
が或る能力・経験感覚などを備えていない。また、気持ちを持たない。がはっきりしていない。нямам/липсават ми (способности, опит, усет и пр.)
学力/力/実力/やる気/知恵/度胸/いいアイデア/品/魅力/意識/経験/感覚がない
4.
[多く助詞」「」などと共に用いて。]
数量・
時間などが、その表示された数量や時間に達していない。
試験まであと1週間も/とない。До изпита не остава и седмица. 駅まで1キロも/とない。До гарата няма и 1 километър.
開演まであと10分もない
5.
[亡い]
人間が)既に死んで、この世にいない。生存していない。死んでいる。(за човек) починал е и вече го нямя на този свят
今は亡き祖母сега е вече покойната ми баба 亡き者にする 亡くなるумирам/почивам これからは私はないものと考えてください。Оттук нататък считай, че не съществувам.
6.
同じが二つと存在しない。他に類がない。またとない。
またとない機会/チャンス/珍品 その時の惨めさといったらなかった
7.
留守/不在である。
8.
[「…こと」を受けて。]
8-1.
否定を表す
興味がないこともないが、わざわざ高い金を出してまで行く気はしない
8-2.
未経験である。
食べた/見た/行ったことがない(никога) не съм ял/виждал/ходил こんなに寂しい思いをしたことはこれまでにない。Никога до сега не съм се чувствал толкова самотен.
8-3.
不必要であることを表す
何もそこまでしてやることはないだろう
8-4.
可能性がないことを表す
こんな風邪で、まさか死ぬこともないだろう
9.
補助形容詞
9-1.
形容詞形容動詞連用形、及び一部の助動詞」「たい」「らしい」などの連用形付いて。]
その状態打ち消し表す
この小説はあまり面白くない 今日はそれほど暑くない この辺りはあまり静かではないから公園にでも行こう そういう言い方は好きじゃない 残念ながら実現しそうにない 私の言っているのはそういうことではない そんな話は聞きたくもない 顔も見たくない奴 絶望だなんて君らしくもないね 
9-2.
動詞連用形助詞」の付いたものに付いて。]
「…ている」「…てある」という状態打ち消し表す
まだ朝ごはんを食べてない きょうは市電が動いてない 私はまだ死んでない 店があいてなかった
9-3.
[「…ないではない」「…ないこともない」などので。]
すっかり否定しきらないで、いくらかは認める。
言い分はわからないでもない 条件によっては承知できないこともない
9-4.
[「…ではないか」などので。]
確認したり念を押したり詰問したりする。
やればできるじゃないか あれほど説明したではないか ここにあるじゃないか、どこ見てたんだ?
9-5.
[「…ようではないか」などので。]
勧誘したり催促したりする意を表す。
みんなで力をあわせて、ともに頑張ろうではないか やってみせようじゃないか
9-6.
[「…のではない」などので。]
否定・禁止の意を表す。
人を馬鹿にするんじゃない、それぐらい誰だって分かる 頭で覚えるんじゃない、からだで覚えるんだ
9-7.
[「…ともなく」などので。]
はっきりしないままそれが行われるさま。
聞くともなく聞いていたんだけど 降るともなく降り続く雨
9-8.
[「お…でない」などので。]
禁止の意を表す。
調子に乗っておふざけでないよ
10.
接尾語とする説も。]
名詞
付いて、否定の意を含む形容詞を作る。
違いない 頼りない 情けない 心ない 面目ない

→味も素っ気もない・蟻の這い出る隙もない・合わせる顔がない・生きた空がない・痛くも痒くもない・一言《いちごん》もない・一も二も無く・瓜に爪あり爪に爪なし・応接に暇《いとま》がない・影も形もない・稼ぐに追いつく貧乏なし・神も仏もない・可もなく不可もなし・顔色なし・眼中人無し・看板に偽りなし・鬼神に横道《おうどう》なし・薬にしたくもない・国に二君なし・芸がない・恋に上下の差別なし・恒産なきものは恒心なし・声なき声・
ことがない(事が無い)触らぬ神に祟りなし・三界に家無し・山中暦日なし・死人に口なし・是非もない・備えあれば患《うれ》いなし・大事の中に小事なし・只より高いものはない・玉磨かざれば光なし・血も涙もない・罪がない・手もなく・取り付く島がない・天に二日《にじつ》無し・名ありて実なし・無い袖は振れない・無い物は無い・無きにしも非ず・無くて七癖有って四十八癖・なげ(無げ)形動]・なさ(無さ)]・鰾膠《にべ》もない・根も葉もない・恥も外聞もない・非の打ち所がない・武士に二言なし・方図《ほうず》がない・枚挙に遑《いとま》がない・満更でもない・身の置き所がない・身も蓋もない・身も世もない・見る影もない・目がない・目に一丁字なし・名所に見所なし・名物に旨《うま》い物なし・本木《もとき》にまさる末木《うらき》なし・元も子もない・野《や》に遺賢無し・勇将の下に弱卒無し・行くとして可ならざるはなし・油断も隙もない・欲も得もない・埒《らち》もない・立錐の余地もない・渡る世間に鬼はない

用例

1.
「ない(無い・亡い)」1.用例
1.2.
 世界史的に見る高い文化地域伝わっていく場合そういう征服侵略伴って行なわれたのがむしろ常態だろうと思いますところが日本文化征服などとは無関係に高文化からその時々さまざまいいものいただいている珍しいです世界大勢外来文化受けとるということ外来文化きらびやかなものとか思想受けとるということだけではなくそういうもの作り上げた民族なり政治集団なり直接に乗り込んできてその社会攪乱するという事態つねに結びついているですからもたらされたものどんなに魅力的な外来文化であってもいつも素直には受けとめられないつまり外来文化流入には宿命的にそのには警戒すべき条件抱き合わせなっているという一種不安感みたいなものあるのではないかしかし日本場合その歴史的条件から征服なしにしかも外国人切り離して外国思想だけ抽象化された入ってきましたからそういう警戒心恐怖感覚いっさいない日本人外来文化に対して旺盛な好奇心もちそれすぐ模倣結びつくというのはそのへん根本的な理由あるのではないかということ考えているわけです
(増田義郎(石田英一郎・上山春平・江上波夫・増田義郎「座談会日本人好奇心エネルギー源泉」『日本文化構造』1972)
2.
なきすきものにて、朝夕琴を指しおくことなかりけり
7.
老いらくの来むと知りせば門さしてなしと答へて逢はざらましを
(「古今和歌集」913)
8-2.
「ない(無い・亡い)」8-2.用例
8-4.
 三太郎の日記永久に打切りするために從來公にした第一第二との本文その後もの集めた第三加へて此處此の出版する三太郎の日記三十に於ける自分前半期伴侶として色々意味に於いて思ひ出多いものである併しこの通讀する行間に於いて看取する得べきが如く自分次第に此の告白若しくは告白めきたる空想及び思索してゐる堪へなくなつて來た自分最早永久にこの――篇中に於いて最も日記らしい體裁具備する――文章公にすることがないであらうさうして後年再び告白要求痛切に感ずる時期來ても――自分早晩如き時期來ること豫想する――如き形式に於いてそれすること決してないであらう故に自分自分生涯に於ける如き時期葬るために過去現在並びに――將來渉つて自分この文章愛して呉れ若しくは愛して呉れるであらうところの友人親愛表はすためにVolksausgabeに於いてこの殘して置く
阿部次郎合本三太郎の日記 」1950、冒頭
9-1.
「ない(無い・亡い)」9-1.
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるりと舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(栗原彬「かんけり政治学1984