もう 副詞

13/11/2017 20:16

歴史的仮名遣いを「まう」とする説もある。]

アクセントう・も
1.

現に、或る事態に立ち至っているさま。また、或る動作が終わっているさま。時間や程度が、或る基準や節目を超えることを表す。もはや。既に。вече

もう手遅れだ。Вече е късно.     もう子供ではない。Вече не съм дете. 今泣いた烏がもう笑った あれからもう一年経つ。Оттогава мина вече 1 година. もうこれ以上食べられない。Повече от това вече не мога да ям. もうそんなことは忘れた。Вече забравих (за) това.
2.
あとわずかの時間で、或る事態になるさま。時間や場所に或る基準点を定めて、それに近づくことを表す。まもなく。やがて。じきに。вече; скоро

もう終わりますから、しばらくお待ちください。Вече свършвам, така че изчакайте малко. もう来るだろう。Скоро/вече трябва да дойде. もうそろそろ頂上だろう 駅はもうすぐそこだ
3.
すでに或る事物や基準、状態に達しているのに、さらに加える意を表す。さらに。いま。още

もうちょっとで車にひかれるところだった。Още малко и щеше да ме блъсне кола. もう片方の靴下が見つからない。Няма ми единия чорап. もう一杯飲もう。Да пием още една чаша. もう一度言っていただけませんか。Ще повторите ли още веднъж もう少し左に寄って下さい。Премести се още малко в ляво.
4.
[あとに打消しの語などを伴って。]
同じ事をこれ以上繰り返したくないという気持ちを強調する語。二度とは。(с отрицателна форма на сказуемото)
повече (няма да и пр.)
もうしませんから許してください。Повече няма да правя така - прости ми. 戦争はもうごめんだ
5.
自分の判断・感情などを強める気持ちを表す語。感動詞的にも用いる。まさに。なんとも。

これはもう疑う余地のない事実だ もう、ほんとに彼女はすごい 嫌になっちゃう/ひどいなあ、もう

あと・今・今にも・今や更に・直《じき》既《すで》に・そろそろ・つとに・とっくに・なお早《はや》・程なく・まだ・間もなく最早《もはや》

用例

1.
「もう」1.用例
2.
[発表年順]
 御作《おさく》さん起きるが早いかまだ髪結来ないか、髪結来ないかと騒いでいる髪結昨夕《ゆうべ》たしかに頼んでおいたほかさまでございませんから、都合して是非までに上りますとの返事聞いてようやく安心して寝たくらいである柱時計見ると、もうにはしかないどうしたんだろうと、いかにも焦れったそうなので見兼ねた下女は、ちょっと見て参りましょう出て行った。御作さん及び腰なって障子取り出した鏡台を、立ちながら覗き込んで見たそうしてわざと開けて上下《うえした》とも奇麗揃った白い残らず露わしたすると時計ボンボン打ち出した。御作さんは、すぐ立ち上って間《あい》開けてどうしたんですよあなたもう過ぎです起きて下さらなくっちゃ晩くなるじゃありませんか云った。御作さん旦那聞いて起き直ったところである。御作さん見るや否やあいよ云いながら気軽に立ち上がった
夏目漱石「人間」『永日小品』1909、冒頭
 
そのときかねて介錯頼まていた関小平次がた。よめ呼んだ。よめ黙ってついて機嫌伺っていると、言った。
「長十郎は
ちょっと一休みすると言うが、いかい立つようなちょうど殿られた。もう起こしてやってどうじゃろう」 「ほんにそうでござりますあまり遅くなりませんが」よめこう言ってすぐに起って起し往った。
森鷗外「阿部一族」1913)
[発表年未詳・筆者生年順]
石川啄木(1886-1912)「新しい味ひ冒頭
わたしの終末はもうそこまで来ていると思う。
(ジェイン・ボウルズ「ある老女の歌」四方田犬彦訳)
3.
 
切れたから、立ち留まって仰向くと、火の粉もう通る置く澄み切って深いに、数を尽くして飛んで来ては卒然消えてしまうかと思うとすぐあとから鮮なやつが、一面吹かれながら追(おっ)かけながらちらちらしながら熾《さかん》あらわれるそうして不意消えて行くその飛んでくる方角見ると、大きな噴水集めたように一本なって隙間なく寒い染めている二三大きなある長い石段途中太い静かな夜《よ》張って土手から高く聳えているその後《うしろ》から起る黒い動かぬことさらに残して余る真赤である火元この高い土手に違《ちがい》ないもう一町ほど行って上《あが》れば現場出られる
夏目漱石「火事」『永日小品』1909、冒頭
 祇園では見られなくなつたもの、「雑魚寝ほかもうひとつ逢状というものある
 これ来た茶屋から名差し芸妓舞妓出すものであつて大体葉書大、「××さまゆゑ直ぐさまお越しねがひ上げ候という文句茶屋印刷してあり、××というところ名前書きそれ相手名前書いてそれぞれ芸妓舞妓屋形届けるそうするとそこ苧姆《おちよぼ》それそれぞれ出先届けるのだがでは出した何分しか来ない分つているので二十書くものあるそれだから一流芸妓舞妓なる襟元ところはみ出す多く逢状持つていてそれ一種見得なるものだつた
吉井勇逢状」『祇園歌集』1915、冒頭
 戦争武力をも直接使用して国家国策遂行する行為でありますアメリカほとんど全艦隊ハワイ集中して日本脅迫しておりますどうも日本足りない足りないと言って弱っているらしいもうひとおどしおどせば日支問題日本側折れるかも知れぬ一つ脅迫してやれというのでハワイ大艦隊集中しているのでありますつまりアメリカかれら対日政策遂行するために海軍力盛んに使っているのであります間接使用でありますからまだ戦争ではありません
石原莞爾最終戦争」1940、冒頭
4.5.
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるりと舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(栗原彬「かんけり政治学1984
5.
 
歩き出した
 
重い背嚢重い重いアルミニウム金椀当たってカタカタと鳴るその興奮した神経おびただしく刺戟するので幾度かそれ直してみたが、どうしても鳴るカタカタと鳴るもう厭になってしまった
田山花袋「一兵卒」1908、冒頭