ない 助動詞・接尾語・感動詞

24/10/2015 13:13

1.
助動
[なかろ/なくなかっ
ないないなけれ○]
動詞助動詞れる」「られる」「せる」「させる」「しめる」「たがる」の未然形に付く。だし、動詞のうち、「ある」だけには付かない。また、サ変動詞には、未然形のうちの「し」の形に付く。語源については、打消しの助動詞」を形容詞したと見る説、形容詞なし」、または、上代東国方言助動詞「なふ」の音変化説など諸説がある。文献上では、ロドリゲス日本大文典」に、関東方言で「アゲ〈ナイ〉、ヨマ〈ナイ〉、ナラワ〈ナイ〉」などと言うとあるのが早い(終止形連体形以外の用法は極めて少ない。)もので、近世江戸語以降、「)」に代わって打消しの助動詞として次第に広く用いられるようになった。未然形「なかろ」に助動詞「う」の付いた「なかろう」は打ち消しの推量を表すが、この場合、現代語では「ないだろう」を用いることが多い。連用形なく」に接続助詞」の付いた「なくて」は、時に促音が添加されて「なかなかできなくっていらいらしちゃった」のように、「なくって」となることがある。また、連用形なく」に連語ては」の付いた「なくては」は、話し言葉のくだけた言い方では、「そろそろ帰らなくちゃならない」のように、「なくちゃ」となることもある。連用形「なかっ」は助動詞」、助詞たり」を伴って打ち消しの過去を表すが、これは明治以降、広く用いられるようになったもので、近世江戸語では一般には「なんだ」が用いられた。用言にかかる用法や中止法に用いられる「ないで」を助動詞「ない」の連用形の一つの形と認める説もある。仮定形「なけれ」に接続助詞」の付いた「なければ」は、話し言葉でのくだけた言い方では、「すぐ出かけなけりゃ ならない」「早く行かなきゃ間に合わない」などのように、「なけりゃ」「なきゃ」となることもある。なお、近世江戸語では、「なければ」に先立って「ないければ」という言い方が広く用いられた。現代語では、助動詞「ない」は動詞ある」には付かないが、近世では、「くびもこわいものではあらない」(「おあん物語」18世紀初め)「せく事はあらない」(浄瑠璃近松門左衛門心中宵庚申」1722)のように、「あらない」の例もごく稀には見られる。]
1-1.
動作・作用・状態などの打ち消しを表す。
馬鹿な映画は見ない あまりに脂っこいものは食べない 多すぎて飲めない
1-2.
[文末で使う。普通、上昇調のイントネーションを伴う。「ないか」の形をとることもある。話し言葉に用いられるが、終止形用法に限られ、ほとんど打消しの意が失われているところから、終助詞として扱うこともある。]
問いかけや勧誘の意を表す。
ちょっと手伝ってくれない(か)? ぼつぼつ出かけない(か)?
1-3.
[「ないで」の形で文末にあって。]
打ち消しの願望や婉曲な禁止の意を表す。
それ、もう古いから食べないで(ね) 僕が死んだあとも僕のことを忘れないで(ね)
2.
接尾
形容詞活用なし
[性質・状態を表す語(形容詞形容動詞)の語幹などに付いて形容詞を作る。]
その程度の甚だしい意を表す。
あどけない せわしない 切ない はしたない
3.
[唯]

応答の語。また、同意を表す語。はい。
江戸時代武家に仕える中間《ちゅうげん》・奴《やっこ》などが多く用いた。ねい。はい。

→ないか・ないければ・ないで・ないではない・なかった・なくて・なし(無し)[名詞]なし[接尾語]・ならない

用例

1-1.
足下《そっか》のやうに言《ものをい》うては論が干《ひ》
ない
滑稽本式亭三馬浮世床」1814)
3.
「是そこな奴さま、ここへござんせ雇ひましよ」「ないないない
浄瑠璃近松門左衛門傾城反魂香」1708)
「馬取り共その間、宮へ行て休息せい」「ない
浄瑠璃近松門左衛門鑓の権三重帷子」1717)