みな(皆)

05/01/2016 15:23

アクセント:みガ]
1.

そこにいる者
全部。全員。また、あるもの全部すべてみんな。всичко; всички
みなが集まって相談する みなが賛成だ。Всички са съгласни.
2.

大勢の人々に呼びかける語。
みんな。всички (като обръщение към много хора)
皆、どう思う?Всички, какво мислите?

3.

副詞用いて
残らず。
すべて。ことごとく。みんな。(като нареч.) всичко; изцяло; напълно; до край
チーズは皆食べられてしまった。Всичкото сирене се изяде.

用例

1.
 南向き部屋であっ明かるい背中した三十ばかり小供黒い揃えて塗板《ぬりばん》眺めていると、廊下から先生這入って来た先生低い大きい瘠せたで、から掛けて爺汚《じじむさ》生えかかっていたそうしてそのざらざらした触《さわ》る着物薄黒く垢附《あかづ》いて見えたこの着物と、この不精に延びると、それからかつて小言云った事がない先生みなから馬鹿にされていた
夏目漱石「紀元節」『永日小品』1909、冒頭
「みな(皆)」1.用例(1913)
ホッとしたこれせいせいしたなぜ知らない非常に自分うれしい生きる喜びはじめて知って嬉しいただ別れる悲しい
木下順二とのあいだ」1972)
 思い出すしばらく訪れた高齢者グループホームこと
 住むいなくなった木造民家ほとんど改修せずに使うデイ・サーヴィス施設だったもちろんバリアフリーからはほど遠い玄関には石段あり玄関引く玄関間ある脱いでよいしょ上がるこんどそれ開けてみな集《つど》っている居間入る軽い認知症患っているその女性お菓子おしゃべり興じている老人たちにはすぐに入れず呆然と立ちつくすなんとなくいたたまれず折ってしゃがみかけるとっさどうぞいざりながら自分使っていた座布団差しだす伸びる。「おかまいなく座布団押し戻し、「言うておす遠慮せんといっしょお座りやすふたたび座布団押し戻される…。
 和室居間立ったままでいること不自然である。「不自然であるのはいうまでもなく人体にとってではない居間という空間においてである居間という空間求める挙措立ったままでいること合わない高みからひとたち見下ろすこと反するだからいたたまれなくなって腰を下ろすこれからだ憶えているふるまいであるからだひとりでにそんなふう動いてしまう
 からだなかあるというのはそういうことからだ動き空間との関係ということは同じくそこいるひとびととの関係ある整えられているということ
(鷲田清一「身ぶり消失」2005)
1.2.3.
 光尚起つとき言った。「出精であった帰って休息いたせ
森鷗外阿部一族」1913)
3.
造らず造らず言えりさればより生ずるには万人万人みな同じにして生まれながら貴賤上下差別なく万物たる働きをもって天地あるよろず資《と》りもって衣食住達し自由自在互い妨げなさずしておのおの安楽にこの世渡らしめ給う趣意なりされども広くこの人間世界見渡すかしこきありおろかなるあり貧しきあり富めるあり貴人あり下人ありてその有様相違ある似たるなんぞやその次第はなはだ明らかなり。『実語教、「学ばざればなしなき愚人なりありされば賢人愚人学ぶ学ばざるによりてできるものなりまた世の中むずかしき仕事ありやすき仕事ありそのむずかしき仕事する身分重き名づけやすき仕事する身分軽きというすべて用い心配する仕事むずかしくして手足用うる力役《りきえき》やすしゆえに医者学者政府役人または大なる商売する町人あまた奉公人召し使う大百姓など身分重くして貴きと言うべし
福沢諭吉学問のすゝめ」1872-76、冒頭
 越後三条生れなり兼ねたり伯父春庵とて医師なりよりは伯父愛せられて幼きより手習学問こと皆な伯父世話なりし自ら言う異ななれど物覚えよく聞て二三知るほどなりしゆえ伯父なお入れてこのこそ穂垂という苗字知らせまたその生国としてこのをも挙るものなれとていよいよ珍重して教えられ逢えばその吹聴さるる嬉しき思いますます学問入れしゆえ神童言われ十三小学校助教なれり名誉伯父面目ためには三条町幅狭きようにてこのばかりか近郷褒め草ある県令学校巡廻あり講義聴かれて天晴慧しきかなこれまで巡廻せし学校生徒うち比べるなし校長語られたりこの洩れ聞きてさてはこの冠たるのみならず新潟県下第一俊傑なりしこの県下第一ならば全国英雄集まる東京出るとも第二流には落つまじ俄かに気強くなりて密かに我と握りて打笑みたりこの頃考えには学者政治家などという区別考えなく豪傑英雄というのみにはありしなりさりければなおさらに学問励み新たに来る教師には難問かけて閉口させにはにも伯父にも開かせぬなり十五新潟出て英学せし教師教うるところ低くして満足せず八大家文読み論語さえ講義天下経綸せんとするオメオメと持つ持つ風船乗ってしつつ廻るのと児戯に類する学ばんや東京出でばかかるあるまじ深淵あらねば潜れず東京出て我が才識研ぎ驚かすほど大功業建てる天下第一大学者ならん一詩のこして新潟学校去り在所かえりて伯父出京語りし伯父顰め、「東京にて勉学望むところなりしかしまだ早し卑近なりとて知り覚ゆるだけ方便なり二三新潟にて英学なしその上にて東京出でよ学問にはよらじ上磨きだけ東京にてせよ止められ屈して一年独学したれどはしる如き出京志し弱き手綱繋ぐべきにあらず十七なりし決して伯父乞いもし許されずは出奔せん覚悟様子それ悟りて左まで思わば出京せよ許可得たり
饗庭篁村良夜」1889、冒頭
泉鏡花婚姻」1895冒頭
 雑煮食って書斎引き取ると、しばらくして三四人来たいずれも若いであるそのうち一人フロック着ている着なれないせいかメルトンに対して妙に遠慮する傾きあるあともの和服で、かつ不断着ままだからとんと正月らしくないこの連中フロック眺めてやあ――やあ一ツずつ云ったみんな驚いた証拠である自分一番あとで、やあ云った
夏目漱石「正月」『永日小品』1909、冒頭
「みな(皆)」3.(1910年代)
 中国二十四歴史王朝かわるごとに学者たち集めてこしらえた正史にはみな列伝という特殊な形式部分あるそれ英雄豪傑文人学者めざましい行為一世いろどったたちまで個人に関する記録あつめたものであるこの列伝読む多数歴史的人物物語小説ように浮び出て来てその個性声音体臭まで見事に描き出されているのに感心せずにはいられない。「列伝載るほど人物いずれも何等か意味強者であり相当自己主張持ち自分自身一つ象徴一つ代表として社会押し出す人間であるだけにこれら多数人間かもし出す色模様鮮明きわまりない鮮明であるばかりでなくとかとかとか不正とか簡単な標準では片づけられない複雑な人間性いつのまにかそのいかめしい正史文章《うち》読みとられてくるのである