食ひ(くひ) 活用形・名詞

19/06/2017 17:27

→「くひ(食ひ・喰ひ)

用例

 今は昔比叡《ひえ》の山児《ちご》ありけりたちつれづれ、「いざかいもちひせん。」言ひけるこの心よせ聞きけりさりとてし出ださん待ちて寝ざらんわろかりなん思ひて片方《かたかた》寄りて寝たるよしにていで来る待ちけるすでにし出だしたるさまにてひしめき合ひたり
 このさだめておどろかさんずらん待ちゐたる、「もの申し候《さぶら》はんおどろかせたまへ。」言ふうれしとは思へどもただ一度にいらへん待ちけるとも思ふとていま一声呼ばれていらへん念じて寝たるほどに
な起こしたてまつりそをさなき寝入りたまひにけり。」言ふしければあなわびし思ひていま一度起こせかし思ひ寝聞けばひしひしとただ食ひ食ふしければずちなくて無期《むご》のち、「えい。」いらへたりければたち笑ふこと限りなし
(「宇治拾遺物語鎌倉初期
 九月十七坐つた五つなりしめてをる
 御馳走やき松茸であつたところがある松茸には下女醤油かけるのを忘れてゐたすると直ぐ大声御母さん醤油叫んだつゞいて食事しながら
アノ御母さん今日○○さん○○さん初茸とり行つた。○○さん沢山取つてあたし見せびらかして喜こんでいらつしやつたのにふと当ててとり落しなすつたそれで初茸あちらへもこちらへも転がつてしまつたのです
 さも得意に話しては食ひ/\、母さんもつと静かに云はれてしばしばしきりに動かして居た今度少し眠くなつて駄々こね始めた
和辻哲郎初旅」1972)