しか 係助詞・終助詞

07/10/2017 21:43

1.
係助
体言またはそれに準ずるもの、動詞連体形形容詞形容動詞連用形、一部の助詞助動詞などに付き、下に常に打ち消しの語を伴って用いる。近世以降用いられ、限定の助詞に付けて「きりしか」「だけしか」「ほかしか」「よりしか」の形で、「しか」を強めていう場合もある。現代の極めてくだけた言い方では「こうなったらやるっきゃない」のように、「っきゃ」となることもある。]
特定の事柄・条件だけを取りあげて、それ以外のものをすべて否定する意を表す。само; единствено; нищо друго освен    
きりだけ
帰る時には財布の中には2ユーロしか残っていなかった。На връщане в портфейла ми бяха останали само 2 евро. それができるのは彼女しかいない。Единствено/ само тя може това. この道を行くしかない。Единственото, което можем, е да следваме този път.
2.

終助
語源については、過去の
助動詞」の已然形「しか」からの、或いはその連体形「し」に係助詞」の付いたもの、などの説がある。上代では「しか」であったが、のち「しが」ともいわれるようになった。「てしか」「にしかの形で用いられることが多い。]
自己の動作に関して望み願う気持ちを表す。…たい。…たいものだ。
показва желание у говорещия/ вършителя на действието, обозначено с глагола, когото придружава, да извърши това действие; искам да; иска ми се да

てしかにしかてしがにしが

用例

1.
 御作《おさく》さん起きるが早いかまだ髪結来ないか、髪結来ないかと騒いでいる髪結昨夕《ゆうべ》たしかに頼んでおいたほかさまでございませんから、都合して是非までに上りますとの返事聞いてようやく安心して寝たくらいである柱時計見ると、もうにはしかないどうしたんだろうと、いかにも焦れったそうなので見兼ねた下女は、ちょっと見て参りましょう出て行った。御作さん及び腰なって障子取り出した鏡台を、立ちながら覗き込んで見たそうしてわざと開けて上下《うえした》とも奇麗揃った白い残らず露わしたすると時計ボンボン打ち出した。御作さんは、すぐ立ち上って間《あい》開けてどうしたんですよあなたもう過ぎです起きて下さらなくっちゃ晩くなるじゃありませんか云った。御作さん旦那聞いて起き直ったところである。御作さん見るや否やあいよ云いながら気軽に立ち上がった
夏目漱石「人間」『永日小品』1909、冒頭)
「しか」1.用例(1910年代)
鶴見俊輔戦後日本大衆文化:1845~1980年」1984)
2.
まそ鏡見しかと思ふ妹《いも》も逢はぬかも玉の緒の絶えたる恋の繁きこのころ
思ふどち春の山辺にうちむれてそこともいはぬ旅寝してしか
(「古今和歌集」913)
伊勢の海に遊ぶあまともなりに
しか浪かき分けてみるめ潜《かず》かむ
(「後撰和歌集」10世紀半ば)