アルファベット順

など(等・抔) 副助詞

15/10/2017 08:32

副助
[「なにと」のである「なんど」から。
中古以降の語。発生期から「なんど」の形も用いられ、近世以降「なぞ」「なんぞ」「なんか」の形も用いられた。体言または体言に準ずるもの、活用語連用形、一部の助詞文節などに接続する。多くの中から一つのものを例示するのが本来の用法である。語源が「なにと」であるために、古くは引用文を受ける場合にも格助詞」の付かないのが普通であったが、語源意識が薄れるに従って「」が付くようにもなった。]
アクセントど]
1.
一例を挙げ、或いは、「...や...や...など」の形でいくつか並べたものを総括して、「たとえば」の気持ちをこめて例示する。多くの場合、他に同種類のものがあることを言外に含めて言う。なんか
この画家は特にヨーロッパや日本などで愛されている 僕は掃除や洗濯などはできるだけせずに済ませたい 夜半にかけて雨や風などが強まってくるでしょう 彼女は絵や音楽などの芸術に造詣が深い ここ数日寒くなってきたので、帽子をかぶるなどして風邪をひかないように気をつけている インフルエンザになど/などにかかったら大変だ
2.
或る事物を特に取りあげて例示する。なんか
2-1.
特にそれを軽んじて扱う。なんか。なんて。
あなたなど大嫌い くだらない面子など捨ててしまえ 誰が羨ましがりなどするものか
2-2.
[叙述を弱めやわらげる場合。文語文や古文に多く見られる用法。
この場合には例示の気持ちはあまりない。
彼女などよくやっているほうだと思うよ 私などはこのように思うんですが
3.
[引用句や文を受けて。]
それが大体の内容であることを表す。…というようなことを。現代語では「などと」の形で用いることが多い。
いやだなどとは言っていられないだろう 彼はいつも明日は明日の風が吹くなどとのんきなことを言っている
4.
婉曲に言う意を表す。...でも。なんか
お茶でもいかがですか これなどいかがでしょう
 
→なぞ(副助)・なんぞ(副助)・ なんか(副助)

用例

1.
「など(等・抔)」1.用例
1.2-1.
 日本古代文化に就て殆んど知識持っていないブルーノ・タウト絶讃する桂離宮見たことなく玉泉大雅堂竹田鉄斎知らないのである況んや、秦蔵六≪はたぞうろく≫だの竹源斎師など名前すら聞いたことなく第一めったに旅行することがないので祖国あのこの風俗山河知らないのだタウトによれば日本に於ける最も俗悪な都市という新潟市生れ蔑み嫌うところの上野から銀座へのネオン・サイン愛す茶の湯方式など全然知らない代りに猥≪みだ≫りに酔い痴≪し≫れることをのみ知り孤独家居いて床の間などというもの一顧与えたこともない
坂口安吾日本文化私観」1942冒頭
武田泰淳異形1951冒頭
2-1.
[発表年順]
 花山院御時大納言というあった贅肉たまたま姿かりたようによくふとっていたすでに五十であったきこえた色好みには衰えなく夜毎おちこち通った白々明け戻り道きぬぎぬ残り香なつかしんでいるのであろうねもやらずたたずみ朝景色見惚れている姿垣間見たりなどすることがある垣根もと忍び寄って隙見する習いであった怪しまれて誰何受けることあればなき声真似ること古い習いなっていた時々また楽しみなことでしたなど通人ものとも見えぬ香《かんば》しからぬこと言って満悦だった垣根際叢《くさむら》濡らしてしまうことなどかけたこともないたちだった
坂口安吾大納言」1939、冒頭
「など(等・抔)」2-1.(1940年代)
[発表年未詳・筆者生年順]
 昨日所謂彼岸中日でした吾々やうに田舎住むもの生活これから始まるといふです東京市中離れた此の武蔵野最中住んで居るから今日片寄せてある取り出してこの楽しむ為に根分しようとして居るところです実は久しいこと作つて居るのであるが二三年間思ふあつてわざと手入れしないで投げやりに作つて見た一体と云ふもの栽培法調べて見る或は菊作り秘伝書とか植木屋口伝とかいふものいろ/\とあつてなか/\面倒なものですこれほど面倒なものとすれば到底素人には作れないと思ふほどやかましいものですそして色々な秘訣守らなければ存分に立派な作られないといふことなつて居るところが昨年一昨年あらゆる菊作り法則無視して作つて見たたとへば早く根分けすること植ゑるには濃厚な肥料包含せしめなければならぬことなるべく大きなもの用ゐること五月七月九月摘まなければならぬこと日当りよくすること毎日一回乃至数回与へなければならぬことなつて肥料追加雑草除くことなどまだ/\いろ/\心得あるにも拘らず二三まるでやらなかつた根分やらず小さい植ゑた儘で取り替へせず摘まず勿論途絶え勝であつた云はゞあらゆる虐待薄遇とを与へたのだそれでもなるらしくそれ/″\出て綺麗な相当に優しい見せてくれたそれで考へて見れば栽培といつても絶対的に必須なものでもないらしい手入れすれば勿論よろしいしかし手入れ無くとも咲く植木屋などよく文人作りなどつけて売つて居るのはなどから見ればいつも少し出来過ぎて居てかへつて面白くない咲いた天然美しさより多く惹かれぬでもない
会津八一/會津八一(1881-1956)「根分しながら冒頭
2-2.
かの御法事などし給ふにも、いかめしうとぶらひ聞え給へり
紫式部源氏物語平安中期
[発表年順]

 
たしか長春ホテルであつたと思ふそのから聞いたしかしそれそのとしてではなしにその長春事務所長してゐる出た時に、B画家らしいのんきな調子莞爾《にこにこ》と笑ひながら言つたのであつた。「、Sさんあゝいふ堅いしてゐるけれどもあれ中々隅に置けないんです
さう?」かう言つたには五十近いそれでゐて非常に若くつくつてゐる頭髪綺麗にわけた浮んだ
つい此間まで大連本社庶務課長してゐたんだが?」
庶務課長! Sさん――? それぢや、Yやつてゐる?」
さうだあそこ行つて見ました。Sあそこつい半年ほどまでゐたんですそのあと行つたんです
庶務課長から此処事務所長では左遷です?」
まアさういふわけです。S好いですけれどもそれ親切で趣味深くつてことわかるなどには非常にいゝなんですけれど――」B少し途切れて、「それ庶務課行くあの《へや》タイピストあるでせう?」
……」
あのゐるぢやないですけれども。Sさんそのタイピスト可愛がつてたうとう孕ませて了つたもんですから?」
ふむ?」いくらか眼を睜《みは》るやうにして、「あゝいふところにもさういふことあるのか? ふむ? 面白い? つまりさうするとゐるゐたやつたわけです?」
さうです
さうかな……。さういふこと沢山あるんです?」
 
かう言つたにはその大きな石造《せきぞう》建物一室――卓《テイブル》三脚並べた電話絶えず聞えて来るクツシヨン椅子置いてあるその向う後姿見せてタイピストカチカチやつてゐる一室さまはつきりと浮んだ
それで何うした? では囲つてでもあるのか
いや本社から此方《こつち》来るすつかり解決つけて来たらしい何でももう子供産んだとか言つた――」
よく早く解決出来た?」
だつて困るからなア――」B笑つて
そこに行くとあゝいふあるから何うにでもなる……」
さうかな――」
 
じつと考へ沈んだ思ひがけない人生事実といふことではなかつたけれども一種不思議な心持感じた。「ふむ!」と言つてまた振つた
それでその別品《べつぴん》?」
ちよつと白いだけですかう言つて笑つた
田山花袋(田山録弥)「アカシヤ1924冒頭
[発表年未詳・筆者生年順]
 昨日所謂彼岸中日でした吾々やうに田舎住むもの生活これから始まるといふです東京市中離れた此の武蔵野最中住んで居るから今日片寄せてある取り出してこの楽しむ為に根分しようとして居るところです実は久しいこと作つて居るのであるが二三年間思ふあつてわざと手入れしないで投げやりに作つて見た一体と云ふもの栽培法調べて見る或は菊作り秘伝書とか植木屋口伝とかいふものいろ/\とあつてなか/\面倒なものですこれほど面倒なものとすれば到底素人には作れないと思ふほどやかましいものですそして色々な秘訣守らなければ存分に立派な作られないといふことなつて居るところが昨年一昨年あらゆる菊作り法則無視して作つて見たたとへば早く根分けすること植ゑるには濃厚な肥料包含せしめなければならぬことなるべく大きなもの用ゐること五月七月九月摘まなければならぬこと日当りよくすること毎日一回乃至数回与へなければならぬことなつて肥料追加雑草除くことなどまだ/\いろ/\心得あるにも拘らず二三まるでやらなかつた根分やらず小さい植ゑた儘で取り替へせず摘まず勿論途絶え勝であつた云はゞあらゆる虐待薄遇とを与へたのだそれでもなるらしくそれ/″\出て綺麗な相当に優しい見せてくれたそれで考へて見れば栽培といつても絶対的に必須なものでもないらしい手入れすれば勿論よろしいしかし手入れ無くとも咲く植木屋などよく文人作りなどつけて売つて居るのはなどから見ればいつも少し出来過ぎて居てかへつて面白くない咲いた天然美しさより多く惹かれぬでもない
「など(等・抔)」3.用例
4.
そこ近くゐて物などうち言ひたる、いとをかし
清少納言枕草子平安中期