ても 接続助詞

04/11/2016 17:55

1.
接助
接続助詞「て」+係助詞」から。中古以降の語。動詞形容詞及びそれらと同じ活用形式の助動詞連用形に付く。ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞および「ない」の下では「でも」となる。形容詞活用に接続する場合には促音を伴い、「っても」の形でも用いられる。近世になると、逆接の確定条件を表す助詞「ては」に対応して、仮定条件を表現する「ても」が話し言葉の領域で多く用いられるようになり、それが現代語へと引き継がれた。「ても」はこのほか、「なんとしても」「どうしても」「とても」など、多くの慣用語を作った。連語とする説もある。]
1-1.

未成立の事柄を仮定条件として述べ、それと内容上対立する後件に結びつける。逆接の仮定条件を表す。たとえ…ようとも。たとえ…たとしても。「どうしても」「なんといっても」などの慣用的な言い方としても用いられる。

一度や二度失敗しても、あきらめるつもりはない。И да се проваля един-два пъти, не смятам да се отказвам. たとえ成功しても、これではコストがかかりすぎる どうしても行きたい/行くつもりだ/行けそうもない バニツァは何といってもうちのおばあちゃんのが最高だ。Каквото и да си говорим, баницата на баба ми е най-добрата. 煮ても焼いても食えない奴 死んでも私は君を守る。Дори и да умра,ще те защитавам/пазя.

1-2.

[「てもいい」「てもかまわない」など、許容を表す言い方に多く用いられて。]
「て」を強める意を表す。古語では、許容を表す言い方以外にもかなり自由に用いられる。

窓を開けてもいいですか 肉は食べてもいいでしょうか 少しぐらいなら食べてもいいですよ

1-3.

既定的な事柄を述べ、それと内容上対立する後件に結び付ける。逆接の既定条件を表す。にもかかわらず。けれども。「いくら…ても」の形をとることも多い。
知っていても知らない顔をするи да знам,правя се,че не знам 調べてもわからなかった。Не разбрах,въпреки че проверих. いくら言っても、最後まで彼女には通じなかった 眼を閉じてもまぶたに浮かぶ遠いふるさとの山々
1-4.

[多く「にしても」「としても」の形で。]
或る事柄を仮定条件として認めて、下の文の叙述を起こす意を表す。「それにしても」「…といっても」などの慣用的な言い方としても用いられる。

それにしても、困った問題だ/日本語は難しい/今日はいい天気だ すぐにできると言っても2、3年先の話だよ 落ちることはよもやないにしても、試験というのはいずれにしろいやなものだ
2.
接続助詞「て」+係助詞」。

てもいい てもよい(ても良い・ても善い・ても好い・ても吉い・ても佳い・ても克い)

用例

1-1.
「ても」1-1.用例(1909)
 たまにそういう犬死ならないのは、値遇君臣黙契あって許しなくても許しあったのと変らのである
森鷗外阿部一族」1913)
 子どもたちからだ慣性意図しないで管理社会コスモロジー引き寄せてしまう累々たる管理社会コスモロジーだがその間隙をぬうようにして同じからだ慣性もう一つコスモロジー出会う場合あるもう一つコスモロジー憑きやすい遊びからだ集まり相互性帯びるときに思い出されるかんけりそのような身体ゲーム一つである
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるりと舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 かん蹴るとき市民社会真の御柱蹴る身ぶり上演している市民社会示すとすればかん秩序中心であり管理塔でもある子どもたちかん蹴ることによって学校地域社会一般そして自己内面管理社会コスモロジー蹴り入れているのだ
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(栗原彬「かんけり政治学1984
やがて渇くとて
吹かれちゃいられない
思うような人間じゃない
そうそんな人間じゃない
どうにかなる戯けても
どうにもならないことがある
これじゃまるでピエロ占い師
放った御影石
たかが言葉嘯けど
されど言葉摩訶不思議
かつてした玉手箱
にはある
化かし合い
それ眺める天邪鬼
何処も彼処も言うなれば極楽
足りない七並べ
朝焼け向こう 真実悲しいほど勝手なもん
生きとし生ける全て 注ぐ
枯れ大地罅割れる そこ降るのだろう
明日へと さあ進め 運命とは儚きあの旋律よう
生きとし生ける全て 注ぐ
枯れ大地罅割れる そこ降るのだろう
生きとし生ける全て 注ぐ
枯れ大地罅割れる そこ降るのだろう
思うような人間じゃない
そうそんな人間じゃない
もはや人間じゃない
(森山直太朗・御徒町凧作詞、森山直太朗作曲、中村太知編曲「生きとし生ける」2004)
1-3.
 劇烈な三面記事を、写真版して引き伸ばしたような小説を、のべつに五六読んだら全く厭になった食ってても生活難といっしょに胃の腑まで押し寄せて来そうでならない張ればせっぱ詰っていかにも苦しいそこで帽子被って空谷子《くうこくし》の行ったこの空谷子と云うのはこういうに、話しするのに都合よく出来上った哲学者みたような占者《うらないしゃ》みたような妙なである
夏目漱石「金」『永日小品』1909、冒頭
「ても」1-3.用例(1913)
 五日あいだ彼女すべて時間テレビ過ごした銀行病院ビル崩れ商店街焼かれ鉄道高速道路切断された風景ただ黙ってにらんでいたソファ深く沈み込み固く結び小村話しかけても返事しなかった振ったりうなずいたりさえしなかった自分相手届いているのかいないのかそれわからない
(村上春樹「UFO釧路降りる」1999、冒頭
2.
ねずみまうけて、「天下並びなき婿とらむ。」おほけなく思ひ企てて、「日天子こそ照らしたまふめでたけれ。」思ひて朝日出でたまふ、「もちて候《さぶら》ふみめかたちなだらかに候ふ参らせむ。」申す、「世間照らすあれども会ひぬればなくなるなり婿取れ。」仰せられければ、「まことに。」思ひて黒き見ゆる会ひてこのよし申す、「をも隠すあれども吹きたてられぬればてもなし婿せよ。」言ふ。「さも。」思ひて山風吹ける向かひてこのよし申す、「をも吹き《きくさ》をも吹きなびかすあれども築地《ついぢ》会ひぬれば力なきなり築地婿せよ。」言ふ。「げに。」思ひて築地このよし言ふ、「にて動かぬあれどもねずみ掘らるるとき耐へがたきなり。」言ひければ、「さてはねずみにもすぐれたる。」とてねずみ婿取りけり