から 格助詞・接続助詞・準体助詞

04/05/2016 18:54

体言及び体言に相当するものや活用語連体形に付く。また上代では、助詞」「」「のみ」にも付く。本来「から(柄)」という名詞が抽象化されて、動作・作用の経由地を表すようになったと見られ、上代において助詞」「」に付くのも、その要素が強いからという。上代から用いられている助詞だが、1.平安時代以降の用法で、上代では「より」が受け持った。3.1-1.の用法から転じたもので、近世後期以降見られるようになった。2.近世前期から見られる。]
1.
格助
1-1.

動作・
作用の起点・出発点を表す。изразява начална/ отправна точка на действие и др.
1-1-1.
空間的起点、出所を示す。маркира отправна/ изходна точка в пространството
この港から船に乗る。От това пристанище ще се кача на кораб. これは知り合いから聞いた話だけど、Това го чух от един познат,... 水平線から日が昇る 先生から頼まれた仕事нещо, което учителят ми ме помоли да свърша
1-1-2.
時間的起点を示す。маркира отправна точка във времето
講演は2時からだ。Лекцията е от 2ч. 朝からひどい雪だ。От сутринта вали страшен сняг. 明日から休みだ。От утре съм в почивка.
1-1-3.
[「…から…へ」の形で慣用的に用いる。]
花から花へと、蝶が飛び回っている。Пеперудката лети от цвят на цвят. 彼女は、次から次へと文句ばかり言う。Тя само оплаквания реди, едно след друго.
1-1-4.
[多く下に副助詞まで」や「にかけ」「にかけて」を伴って。]
動作・作用の及ぶ範囲を表す
朝早くから夜遅くまで働くработя от рано сутрин до късно вечер すみからすみまで部屋中探したが、見つからなかった。Претърсих стаята от край до край, но не се намери. 何から何までお世話になってしまって、恐縮です この映画は子どもから大人まで家族みんなで楽しめる。На този филм могат да се наслаждават всички в семейството - от децата до възрастните.
1-2.
通過・経由する所を表す。を通って。に沿って。
窓から日がさしこむслънцето влиза през прозореца この地方は雪が多く、冬は二階から出入りすることも多い。В този район има много сняг и през зимата често се влиза и излиза през/ от втория етаж. 東京を出て、名古屋から京都へと向かう自転車旅行
1-3.
論理の起点・理由・原因・動機・根拠を表す。のために。によって。「からすると」「ところから」「の上から」など慣用的に用いることもある。
業績の不振から、社長の交代が予想されている 寒さの折から、ご自愛ください 現状からすると、今後も改善は容易ではあるまい
1-4.
材料、構成要素を表す。изразява изходен продукт, материал
酒は米から作られる。Сакето се прави от ориз. 水は水素と酸素から成る。Водата се състои от водород и кислород. 日本の国会は衆参二院から構成されている。Японският парламент се състои от две камари - на представителите и на съветниците.
1-5.
動作・作用の開始順序や発端を示す。изразява ред, последователност на действия
先に来た人から前のほうに座ってください
1-6.
移動の手段・方法を表す。によって。で。изразява средство, метод на действие
1-7.
[数量を示す語に付いて。]
おおよその数量を示す。
この神社は、初詣には50万人からの人手がある
1-9.
一つの事例をあげて、全体を強めていう。をはじめとして。「からして」の形で用いられることもある。
名優になると、普段の歩き方から一味違うなあ 親からしてああだから、子どものしつけがひどいのも無理はない
2.
接助
活用語終止形(古語では連体形)に付く。1.の用法から出たもので、中古以降のもの。古語では「からに」の形をとることが多い。]
2-1.
[この用法は、理由・原因を表す接続助詞「ので」との間にすこし差異がある。特に2-1-2.2-1-3.は「から」だけに見られる。]
原因・理由を表す。
2-1-1.
[その背景にある論理を当然のものだとする含意を持って。]
前件を受けて、後件に話し手の断言・命令・
意志など主観性の強い表現がくることが多い。
もう遅いから帰ろう。Вече е късно, така че да се прибираме. 何で買った?ほしいから買ったのよ、自分の金で何を買おうと自由でしょ。Защо го купи? Купих го защото ми харесва. Какво купувам с парите си си е моя работа! 愛していたからこそ、裏切られたときの痛手は大きかった。Именно защото те обичах, когато ме предаде, ме заболя много.
2-1-2.
「からだ」「からです」などの形で、時に強く述べる。
何で成績が上がらないんだろうって?それは君が勉強しないからです、それだけです。Защо не ти се повишават резултатите?! Ами защото не учиш, само заради това.
2-1-3.
[「からといって(からって)」の形で。]
理由・原因に対する帰結・結果を暗示させる。
先生だからって無闇に怖がる必要はないよ 寒いからといって一日中ベッドから出ないというのはねえ。Дори и да (кажеш, че) е студено, цял ден пък да не станеш от леглото...
2-2.
[「からには」「からは」の形で。準体助詞とする説もある。
...以上は、の
表す
留学したからには遊んでばかりいないで少しは勉強しなさい 一度決めた/やる/こうなったからには、最後までがんばろう
2-3.
[「てから」「てからが」の形で。]
逆接の
表す。たところで。
文句ばかり言ってからが、一人では何もできないくせに。Само мрънка и се оплаква, а тя сама нищо не може.
2-4.
[「てからに」の形で。]
順接の
で用いる。たりして。
2-5.
[「からに」の形で。]
二つの事柄が必然的に結ばれており、それらが相続いて発生するという
表す
2-5-1.
...だけの理由で、...ばかりで、のような表す
見るからに強そうな選手 聞くからに怖そうな所
2-5-2.
とすぐ、やいなや、とともに、などのような表す
2-5-3.
終助詞的に用いて。]
強い主張、決意を
表す
思い知らせて/懲らしめて/死んでやるから
3.
準体助
[種々の語に付いて、それの付いた語句を全体として
体言と同じ働きをもつものにする。]
「以後」「以上」「故《ゆえ》」などの表す
3-1.
後《あと》、以上の表す
これは70キロからの重さがあるだろう。Това сигурно тежи повече от 70 кг. 行ってからのほうが心配だ。Повече се притеснявам (какво ще стане) след като отида.
3-2.
から始めて、をはじめとして、の表す
僕が相手を間違えたからのことだ
 
ので[接助] からこそ・からに・からは・てから・てからが・てからに

用例

1-1-1.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」1-1-1.用例
1-1-2.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」1-1-2.用例
1-1-3.
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるり舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(栗原彬「かんけり政治学1984
 もはや一人不幸なインテリ物語瞬間時にしか我々興味惹かない世界散在して生きつづける強力な知識人興味津々たる物語それぞれ結末見通せない巨大なロマン一節として我々緊張させつつあるからである強固な知能的一人物或る呼吸停止したという事より多数彼等どのようにして生き生きつつあるその独創的な手段方法絶えず我々驚かし目ざまし活気づけてくれるいかなる突飛な自殺行為いかなる深刻ぶった自殺宣言よりもっと豊富にして怪奇な不慮我々押しつけている自殺に関する発明発見さして進展しない殺人に関する趣向日夜試験されつつあるしたがって各々選ぶ可能性与えられた人々意識するしないにかかわらず常に自己ためにとてつもない工夫こらさねばならない自殺するために国籍移すない生存するために国土から国土渡り歩く人々増加しつつあること想起しただけでも形式めざましい複雑化明らかである
武田泰淳(1912-1976)「新しき知的士族について」)
1-1-4.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」1-1-4.用例
1-2.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」1-2.用例
1-3.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」1-3.用例
1-5.
1-6.
訪《と》ふべき人、徒歩《かち》
からあるまじきもあり
藤原道綱母蜻蛉日記/かげろふ日記」10世紀後半
徒歩《かち》からまかりていひ慰め侍らむ
(「落窪物語平安中期
2-1-1.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」2-1-1.用例
2-1-2.
「から[格助詞・接続助詞・準体助詞]」2-1-2.用例
2-2.
契約して子にした
からこの雪[=人名]が返さぬ
浄瑠璃近松門左衛門夕霧阿波鳴渡」1712)
 
阿部一族喜び非常であった世間咲き歌うであるのに不幸にして神仏にも人間にも見放されてかく籠居している我々であるそれ見舞うてやれというその言いつけ守って来てくれる実にありがたい心がけ心から感じたたち流してこうなり果てて死ぬるからは世の中誰一人菩提弔うてくれるものあるまいどうぞ思い出したら一遍回向してもらいたい頼んだ子供たち門外一足出されぬのでふだん優しくしてくれた柄本女房見て右左から取りすがってたやすく放して帰さなかった
森鷗外阿部一族」1913)
2-5-1.
初春の初子《ね》の今日の玉箒《たまばはき》手に取るからに揺らく玉の緒
(「万葉集奈良時代) 
2-5-2.
吹くからに秋の草木のしをるれば、むべ山風をあらしといふらむ
(「古今和歌集」913) 
3-2.
鍋そのものからが品よく出来上って居る
夏目漱石虞美人草」1907)