もの(者)

02/06/2017 06:57

もの(物)同源多く連体修飾語を伴って用いられる。
アクセント:もヲ]
卑下・軽視する場合や、改まった場合に用いられる。човекхора
私のような者にでもできるでしょうか。Дали ще е посилно и на човек като мен. うちの者човек от семейството; домашните 土地の者に任せるвъзлагам на местен човек 
持てる者の悩みпроблемите/ терзанията на богатите 若い者млади (хора)

→小者・偽者・
むどうもの(無道者)もん・若者・悪者

用例

 一休和尚いとけなきときよりには変はりたまひて利根発明なりけるとかやをば養叟《やうそう》和尚申しけりこびたる檀那ありて常に来たりて和尚参学などしはべりては一休発明なる心地よく思ひて時折たはぶれ言ひて問答などしけり
 あるときかの檀那皮袴着て来たりける一休門外にてちらと走り入りてへぎ書きつけ立てられける
  
この固く禁制《きんぜい》なりもしもの入《い》るときその必ずばち当たるべし
書きておかれけり
 かの檀那これ見て、「ばち当たるならばこのお寺太鼓何としたまふ申しける
 一休聞きたまひ
さればとよ夜昼三度づつばち当たるあひだその方へも太鼓ばち当て申さむ着られけるほどに
おどけられけり
(「一休咄」1668)
[発表年順]
造らず造らず言えりさればより生ずるには万人万人みな同じにして生まれながら貴賤上下差別なく万物たる働きをもって天地あるよろず資《と》りもって衣食住達し自由自在互い妨げなさずしておのおの安楽にこの世渡らしめ給う趣意なりされども広くこの人間世界見渡すかしこきありおろかなるあり貧しきあり富めるあり貴人あり下人ありてその有様相違ある似たるなんぞやその次第はなはだ明らかなり。『実語教、「学ばざればなしなき愚人なりありされば賢人愚人学ぶ学ばざるによりてできるものなりまた世の中むずかしき仕事ありやすき仕事ありそのむずかしき仕事する身分重き名づけやすき仕事する身分軽きというすべて用い心配する仕事むずかしくして手足用うる力役《りきえき》やすしゆえに医者学者政府役人または大なる商売する町人あまた奉公人召し使う大百姓など身分重くして貴きと言うべし
福沢諭吉学問のすゝめ」1872-76、冒頭
 越後三条生れなり兼ねたり伯父春庵とて医師なりよりは伯父愛せられて幼きより手習学問こと皆な伯父世話なりし自ら言う異ななれど物覚えよく聞て二三知るほどなりしゆえ伯父なお入れてこのこそ穂垂という苗字知らせまたその生国としてこのをも挙るものなれとていよいよ珍重して教えられ逢えばその吹聴さるる嬉しき思いますます学問入れしゆえ神童言われ十三小学校助教なれり名誉伯父面目ためには三条町幅狭きようにてこのばかりか近郷褒め草ある県令学校巡廻あり講義聴かれて天晴慧しきかなこれまで巡廻せし学校生徒うち比べるなし校長語られたりこの洩れ聞きてさてはこの冠たるのみならず新潟県下第一俊傑なりしこの県下第一ならば全国英雄集まる東京出るとも第二流には落つまじ俄かに気強くなりて密かに我と握りて打笑みたりこの頃考えには学者政治家などという区別考えなく豪傑英雄というのみにはありしなりさりければなおさらに学問励み新たに来る教師には難問かけて閉口させにはにも伯父にも開かせぬなり十五新潟出て英学せし教師教うるところ低くして満足せず八大家文読み論語さえ講義天下経綸せんとするオメオメと持つ持つ風船乗ってしつつ廻るのと児戯に類する学ばんや東京出でばかかるあるまじ深淵あらねば潜れず東京出て我が才識研ぎ驚かすほど大功業建てる天下第一大学者ならん一詩のこして新潟学校去り在所かえりて伯父出京語りし伯父顰め、「東京にて勉学望むところなりしかしまだ早し卑近なりとて知り覚ゆるだけ方便なり二三新潟にて英学なしその上にて東京出でよ学問にはよらじ上磨きだけ東京にてせよ止められ屈して一年独学したれどはしる如き出京志し弱き手綱繋ぐべきにあらず十七なりし決して伯父乞いもし許されずは出奔せん覚悟様子それ悟りて左まで思わば出京せよ許可得たり
饗庭篁村良夜」1889、冒頭
「もの(者)」用例(1890年代)
 雑煮食って書斎引き取ると、しばらくして三四人来たいずれも若いであるそのうち一人フロック着ている着なれないせいかメルトンに対して妙に遠慮する傾きあるあともの和服で、かつ不断着ままだからとんと正月らしくないこの連中フロック眺めてやあ――やあ一ツずつ云ったみんな驚いた証拠である自分一番あとで、やあ云った
夏目漱石「正月」『永日小品』1909、冒頭
「もの(者)」用例(1910年代)
「もの(者)」用例(1920年代)
「もの(者)」用例(1980年代)
会社勤め生活楽だった
楽しくない楽だった
ずっと一人生きてきた集団入ってみるその居心地良さ安楽さ驚くのである一人目覚めて寝るまですべきという判断決定自分しなければならないつまりそれ自由というのだが実力ないには自由重すぎる一日中選択決断その結果自分一人ひき受けねばならない
(野田知佑「--放浪記1999
 日本建築寿命短いこれ木造自体耐久性から決まるのではない木造建築でも二百持つ以上持たせること可能であるしかし構造部材メンテナンス必要なので耐久性考える大材用いたほう良いしかし城郭宮殿寺院仏閣でないなかなか大材用いることができない入手難しい加工にも手間暇かかるまた一般的に木造建築火事地震失われること少なくない
 日本人白木新しい建物愛した経つ表面黒ずんでくるそこで余裕ある地震火災遭った勿論ある程度老朽化してくる建て直し周囲その建て主こと甲斐性あるといって褒め称えたしかし建て直すといっても大まかにいえばもと同じもの建つ勿論少し大きくなったり小さくなったり間取り変わったりする見た目大差ないそこで街並み風景長期わたって維持されるしかも木材リユースリサイクルされた
 これ日本独特更新文化呼んでも良いこの典型伊勢神宮である二十ごと隣合う敷地交互建て直される建てられるもの全く同じである建物更新するためには木材必要であり樹木植林によって更新される若木ほう二酸化炭素吸収能力優れているから若木への更新環境上評価できる同時に職人技術更新される更新環境優しく人々仕事与えゆっくりとした変化もたらす優れた文化である
(小西敏正「平成 日本らしさ宣言」2009)
あることばにどのような意味意図が含まれているかを決定することは100%聞き手/読み手委ねられている。
記事2010)
[発表年未詳・筆者生年順]
 人間たよるやうになつてもうよほど久しいことであるのにまだ根気よくそれやつてゐるたより縋り崇め拝むこの心から城壁祭壇神像殿堂作られたいつまでもこの世留めたいと思ふ作るために東洋でも西洋でもあるひは何処《はて》でもから人間努めてゐる姿目ざましい死ぬそのまま地びた棄てておいても膿血腐肉流れつくしただけ似て永く遺るべき素質であるのに遺族友人称へるもの集つて点けて焼くせつかくまで粉々に砕けてしまふそれ拾ひ集めて底深く地中埋めてその上いかつい四角な立てる御参りするといへばまるでそれ故人であるやうにその拝むそしてその大きいほど貞女孝子褒められる貧乏ものこんなでも孝行むづかしい
会津八一/會津八一(1881-1956)「一片冒頭
 昨日所謂彼岸中日でした吾々やうに田舎住むもの生活これから始まるといふです東京市中離れた此の武蔵野最中住んで居るから今日片寄せてある取り出してこの楽しむ為に根分しようとして居るところです実は久しいこと作つて居るのであるが二三年間思ふあつてわざと手入れしないで投げやりに作つて見た一体と云ふもの栽培法調べて見る或は菊作り秘伝書とか植木屋口伝とかいふものいろ/\とあつてなか/\面倒なものですこれほど面倒なものとすれば到底素人には作れないと思ふほどやかましいものですそして色々な秘訣守らなければ存分に立派な作られないといふことなつて居るところが昨年一昨年あらゆる菊作り法則無視して作つて見たたとへば早く根分けすること植ゑるには濃厚な肥料包含せしめなければならぬことなるべく大きなもの用ゐること五月七月九月摘まなければならぬこと日当りよくすること毎日一回乃至数回与へなければならぬことなつて肥料追加雑草除くことなどまだ/\いろ/\心得あるにも拘らず二三まるでやらなかつた根分やらず小さい植ゑた儘で取り替へせず摘まず勿論途絶え勝であつた云はゞあらゆる虐待薄遇とを与へたのだそれでもなるらしくそれ/″\出て綺麗な相当に優しい見せてくれたそれで考へて見れば栽培といつても絶対的に必須なものでもないらしい手入れすれば勿論よろしいしかし手入れ無くとも咲く植木屋などよく文人作りなどつけて売つて居るのはなどから見ればいつも少し出来過ぎて居てかへつて面白くない咲いた天然美しさより多く惹かれぬでもない
会津八一/會津八一(1881-1956)「根分しながら冒頭
 もはや一人不幸なインテリ物語瞬間時にしか我々興味惹かない世界散在して生きつづける強力な知識人興味津々たる物語それぞれ結末見通せない巨大なロマン一節として我々緊張させつつあるからである強固な知能的一人物或る呼吸停止したという事より多数彼等どのようにして生き生きつつあるその独創的な手段方法絶えず我々驚かし目ざまし活気づけてくれるいかなる突飛な自殺行為いかなる深刻ぶった自殺宣言よりもっと豊富にして怪奇な不慮我々押しつけている自殺に関する発明発見さして進展しない殺人に関する趣向日夜試験されつつあるしたがって各々選ぶ可能性与えられた人々意識するしないにかかわらず常に自己ためにとてつもない工夫こらさねばならない自殺するために国籍移すない生存するために国土から国土渡り歩く人々増加しつつあること想起しただけでも形式めざましい複雑化明らかである