格助詞・接続助詞・間投助詞

16/11/2014 17:38

上代からある語で、3.間投助詞としての用法が最も古いもの。格助詞接続助詞としての用法は、それぞれ3.から転化してできたもの。ただし、間投助詞としての用法は中世前期以降次第に行われなくなり、接続助詞としての用法も近世に入るとほとんど行われなくなる。格助詞としての用法のみが現代にまで及んでいる。]
1.
格助
体言またはそれに準ずる語に付く。]
1-1.
動作・作用や希望・好悪などの心情の向けられる対象・目標を表す。[「水を飲みたい」などは、「を」の代わりに「が」を用いることもある。]
映画を見るгледам филм 料理を作るприготвям ястие  授業を終えるприключвам занятие 寒いのを我慢するтърпя студа 水を飲みたいискам да пия вода この動物はこの種の環境を好む。Това животно харесва този тип среда.
1-2.
使役表現において動作の主体を表す。
子供を歩かせる 彼女の努力はいつか大輪の花を咲かせるだろう。Усилията й някога ще се увенчаят с успех.
1-3.
移動の意を表す動詞に応じて、動作の経由する場所を示す。を通って。
公園を散歩するразхождам се из парка いつもとは違う道を通ろうда минем по път, различен от обикновено 廊下を走るな。Не тичайте по коридора! 峠を越すпреминавам проход 海を渡るпрекосявам море 空を飛ぶлетя в небето あの角を右へ曲がって下さい。На онзи ъгъл завийте надясно.
1-4.
動作・作用の行われる時間・期間を表す。изразява време, период, през който протича действие
長い年月を過ごしてきた町 平凡な日々を送る 今を盛りと咲く桜
1-5.
移動の意を表す動詞に応じて、動作の出発点・分離点を示す。から。с глаголи за движение (преместване от едно място на друго) изразява начална точка
しばらく町を離れるза известно време напускам града 席を立つставам от мястото си 部屋を出るизлизам от стаята バスを降りるслизам от автобуса 
1-6.
サ変動詞と共に用いられて。]
「…を…として」「…を…にする」「…を…にして」など、様々な
表現を作る。
彼女のやり方を参考にしよう 社長をはじめ(として)、この会社の社員にはユニークな経歴を持つ者が多い 人の失敗を他山の石とするчовек се учи от грешките на другите
1-7.
[同類の意をもつ名詞動詞の間に置かれ、「香《か》をにほふ」「寝《い》を寝《ぬ》」「音《ね》を泣く」などの形で]
一種の慣用句を作る。
1-8.
遭遇や別離の対象を表す。に。
2.
接助
活用語連体形、まれに名詞に付く。]
2-1.
逆接の確定条件を表す。けれども。のに。
2-2.
順接の確定条件を表す。ので。から。
2-3.
単純な接続。たところ。
3.
間助
名詞、動詞型活用語連体形命令形形容詞形容動詞活用語連用形助詞などに付く。主に上代の用法で、中古でもみられるが、鎌倉時代以後は和歌以外にはほとんどみられなくなる。この用法が格助詞接続助詞に発達したという。なお、3-1.の文末用法を終助詞3-2.格助詞とする説もある。]
3-1.
文末にあって、活用語連体形や言い切りの形、または体言を受け、感動・詠嘆・強調を表す。(だ)なあ。ね。よ。
3-2.
文中用法。
3-2-1.
意志・希望・命令の文中にあって、詠嘆の気持ちをこめて、語調を整える。(だ)なあ。ね。よ。
3-2-2.
情意の対象を詠嘆的に指示する。(だ)なあ。ね。よ。
3-2-3.
[文中で名詞に付き、下に形容詞語幹に接尾語「み」の付いたものを伴って「…を…み」の形で。]
理由・原因を表す句の中で、上の名詞を特に取り立てて強調する意を表す。…が…ので。…が/の…さに。

用例

1-1.
太刀が緒もいまだ解かずて襲《おすひ》もいまだ解かねば
(「古事記」712)
ただ月見てぞ、西東をば知りける
紀貫之土佐日記」935?)
1-3.
新治筑波過ぎて幾夜か寝つる
(「古事記」712)
また住吉のわたりこぎゆく
紀貫之土佐日記」935?)
1-4.
朝日照る佐田の岡辺に鳴く鳥の夜泣き反らふこの年ころ
(「万葉集奈良時代
足引の山鳥の尾のしだり尾のながながし夜独りかも寝む
(「拾遺和歌集」11世紀初頭)
1-5.
たらちねの母別れてまこと我旅の仮廬《かりほ》に安く寝むかも
(「万葉集奈良時代
さびしさに宿立ち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮
1-6.
惜しとも思ひたらず
1-7.
白真弓斐太《ひだ》の細江の菅鳥の妹に恋ふれか眠《い》寝《ね》かねつる
(「万葉集奈良時代
夜はも夜のことごと昼はも日のことごと音《ね》のみ泣きつつありてや
(「万葉集奈良時代
しのび音《ね》のみ泣きて、その年もかへりぬ
1-8.
逢坂《あふさか》にて人別れける時に詠める
(「古今和歌集」913)
2-1.
今はとてまかる、何事もいささかなることもえせで遣はすこと
(「伊勢物語平安時代
亡き人の来る夜とて魂《たま》まつるわざは、このごろ都にはなき、東《あづま》の方には、なほする事にてありしこそあはれなりしか
吉田兼好徒然草」14世紀前半
2-2.
たえて宮仕つかうまつるべくもあらず侍る、もてわづらひ侍り
ししこらかしつる時は、うたて侍る、とくこそ試みさせ給はめ
2-3.
この殿、大将にても、先を追はれける、土御門相国《つちみかどのしようこく》、…と申されければ
吉田兼好徒然草」14世紀前半
3-1.
八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣
(「古事記」712)
宇治川を舟渡せと呼ばへども聞えずあらし梶の音もせず
(「万葉集奈良時代
我妹子《わぎもこ》は釧《くしろ》にあらなむ左手の我が奥の手に巻きて去《い》なまし
(「万葉集奈良時代
老いらくの来むと知りせば門さしてなしと答へて逢はざらまし
(「古今和歌集」913)
3-2-1.
生ける者遂にも死ぬるものにあればこの世なる間は楽しくあらな
(「万葉集奈良時代
恋ひしくは下に思へ紫のねずりの衣色にいづなゆめ
(「古今和歌集」913)
3-2-2.
紫のにほへる妹憎くあらば人妻ゆゑに我《あれ》を恋ひめやも
(「万葉集奈良時代
萩が花散るらむ小野の露霜にぬれてゆかむ小夜《さよ》は更《ふ》くとも
(「古今和歌集」913)
3-2-3.
若の浦に潮満ち来れば潟《かた》なみ葦辺《あしへ》をさして鶴《たづ》鳴き渡る
(「万葉集奈良時代
しののめの別れ惜しみ我ぞまづ鳥より先に鳴き始めつる
(「古今和歌集」913)