格助詞・並列助詞・接続助詞・終助詞

19/06/2017 18:52

1.
格助
上代から用いられている語で、動作・作用が行われ、また存在する、時間的・空間的な位置や範囲を示すのが本来の用法。名詞名詞に準じる語、動詞連用形連体形などに付く。1-8.1-9.1-10.断定助動詞なり」の連用形とする説も。]
1-1.
動作・作用・存在・出来事などの時を指定する。маркира времето на пребиваване/случване на дадено събитие/извършване на дадено действие и пр.
6時に日が昇るслънцето изгрява в 6ч 6時半に起きるставам в 6ч 家事の合間に本を読むчета книга в промеждутъците между домашните задължения
1-2.
動作・作用・存在・出来事などの場所・範囲を指定する。маркира мястото, където нещо се намира/където се случва дадено събитие и пр.
ソフィアに住む/住んでいるживея в София 論文を学会誌に発表する 机の上に本がある。На бюрото има книга. ここからは右手にヴィトシャ山が見える。Оттук в дясно се вижда планината Витоша. 空には星が瞬き、月が輝いている。На небето свети луната и блещукат звездички.
1-3.
目標・対象・目的などを指定する。
このことを彼にも伝えてください。Това го предай и на него. 買い物/仕事/お見舞い/迎えに行くотивам на пазар/работа/свиждане/ да посрещна (накого) ゲームに熱中するотнасям се в играта/погълнат сум от играта 隣の犬が郵便配達の人に飛びかかって噛み付いたそうだ。Кучето на съседите се нахвърлило на пощальона и го ухапало.
1-4.
動作・作用の帰着点・結果・方向を表す。
もう家に着いた?Пристигна ли си вече вкъщи? 市電に乗るкачвам се на трамвай 北北西に進路を取れ すべての努力が水泡に帰した。Всичките ми усилия отидоха на вятъра. その独裁者は危篤状態に陥ったらしい
1-5.
動作・作用の原因・理由・きっかけを表す。のために。によって。изразява причинност
彼女はあまりのうれしさに泣き出した。Тя се разплака от радост. 退職金を元手に古本屋を始める 偏頭痛に苦しむстрадам от мигрена
1-6.
比較・割合の基準や、比較の対象を表す。
あなたはお姉さんによく似ていますね。Я, колко приличаш на сестра си. 週に2,3回ジムに行くходя на фитнес 2-3 пъти седмично 子にまさる宝はない。Няма по-голямо съкровище от децата.
1-7.
受け身・使役のみなもと・相手・対象を表す。
先生にほめられた。Бях похвален от учителя. 世界中の人々に愛されている人човек, харесван от хората по целия свят すりに財布をすられた。Портмонето ми беше откраднато от джебчия. 子どもに手伝いをさせた。Накарах децата да помогнат.
1-8.
資格を表す。として。
候補者に彼を推薦するпрепоръчвам го за кандидат 手伝ったお礼に鉢植えをいただいた。Като благодарност за помощта получих растение в саксия.
1-9.
変化する結果を表す。
ピアニストになるставам пиянист 今度生まれ変わったらできれば鳥になりたい。Ако мога да се преродя бих искал да стана птица.
1-10.
動作・作用・状態の行われ方・あり方を表す。
この線とあの線は直角に交わる。Тази линия и тази линия се пресичат под прав ъгъл. 乱気流で飛行機は上下左右に揺れた。Поради турболенцията самолетът се клатеше на всички страни. (?) 一睡もせずに勉強する 磨いた床はピカピカに光っている
1-11.
[場所を示す用法から転じて、多く「には」「にも」などの形で。]
博士には、このたび古稀《こき》の祝いを迎えられました 陛下には、両三日御休養の御予定であります
1-12.
[「…には…が」の形で、活用語終止形付いて。]
条件付きの許諾の意を表す。
書くには書くが、締め切りはもう少し延ばしてくれ。Че ще го напиша, ще го напиша, но били ми удължил още малко крайния срок. 味がいいにはいいが、しかし高すぎる。За вкусно - вкусно е, но е прекалено скъпо.
1-13.
[特に同じ動詞を重ねた間に用いて。]
程度の甚だしいことを表し、その動詞の意を強める。
待ちに待った留学が今日実現する 昨夜は大いに飲んで、騒ぎに騒いだ 
1-14.
動作が行われる手段・方法を表す。で。によって。
1-15.
状態を認定するのに用いる。のように。の状態で。
1-16.
[「思う」「聞く」「見る」「知る」などの動詞の上付いて。]
状態・内容を表す。
1-17.
比喩の意を表す。
2.
並助
1.から転じた用法。]
名詞及び準体助詞」に付いて、同趣のものの並列・列挙・対比・添加・取り合わせを表す。
パンに、チーズに、牛乳、ほかに買うものあったっけ? 月にむら雲、花に嵐 古いのに新しいの、いろいろあるよ
3.
接助
用言連体形に付く格助詞「に」から転じたもの。]
活用語連体形に付く。]
3-1.
あとの叙述の前置きとして続ける意、また、前件から後件へ、時間的に継起していることを表す。と。ところ。
思うに、彼は私たちのことに気づいているのではないか。Като се замсля, да не би де ни е забелязал? 要するに、言いたいことは何なんですか。В крайна сметка, какво искаш да кажеш? つらつら考えてみるに こともあろうに警官が賄賂を要求するとは世も末だ
3-2.

理由・原因を表す。ので。から。

3-3.

逆接の確定条件を表して、前件から予想される結果が後件と食い違う場合に用いる。けれども。のに。だが。

3-4.

添加・並列を表す。また、前件が後件の仮定条件に立つ場合に用いる。のに加えて。の上にさらに。
4.
終助
3.からさらに転じてできた用法。]
4-1.
[「うに」「ように」などの形で。]
言いきかせたり、あわれみ惜しむ意を添えるのに用いる。
さぞお力落としでいらっしゃるでしょうに あの時、そうしていればよかっただろうに
4-2.
近世の用法。]
軽く注意を促したり、とがめたりする意を表す。のにな。のだぜ。
4-3.
上代語
活用語未然形に付き、他に対してあつらえ望む意を表す。てほしい。

用例

1-1.
二十一日、卯《う》の時ばかり船出《い》だす
紀貫之土佐日記/土左日記」935?)

 ヴィヤグラ、インド語バグ、インドタミル語ピリ、ジャワマチャム、マレーリマウ、アラブニムル、英語タイガー、その他欧州諸国大抵これ似おりいずれもギリシアラテンチグリス基づくそのチグリスなるペルシア語チグリ(より出で駛く走る飛ぶ比べたるに因るならんというわが国でも古来実際見ずに千里走る信じ戯曲清正捷疾《すばやさ》賞して千里一跳虎之助など洒落て居るプリニ博物志に拠れば生きたローマ人初めて見たのはアウグスッスだったそれより欧州人実物見る極めてだったから捕うるため跳る疾さペルシア飛ぶ比べた聞き違えてプリニ二十五こんな《こと》述べて居る曰くヒルカニアインドあり疾く走る驚くべし多く産むそのことごとく取り去られた最も疾く走る例えば猟夫《ひま》乗じその子供取りて替えて極力馳せ去るもとより一向世話焼かず帰って覚る直ちに《におい》嗅いで尋ねごとく走り追うその近くなる猟夫虎の子一つ落すこれ銜えて奔り帰りそのをきてまた猟夫追うまた一つ落す拾い伴い帰りてまた拾い奔るかかる猟師余すところ子供全うして乗る立ちて望み見ていたずらに惆恨しかれども十七世紀には欧人東洋航して親《まのあた》り活きた自然生活まま観察した多くなりほど長途疾く走るものでない解ったので英国サー・トマス・ブラウン俗説弁惑《プセウドドキシヤ・エピデミカ》』プリニ破り居る李時珍いうその象《かたど》る唐音フウ、フウ吼えるそのそのまましたというんだこれしかるべき凡てどこでもオノマトープとて動物そのとしたすこぶる多い往年学芸志林浜田健次郎わが国詳しく述べられた異名多くある以後しばしば大虫呼んだ見える大きな動物すなわち大親分尊称したらしいスウェーデン牧牛女《うしかいめ》黙者《だんまり》、灰色《はいいろあし》、金歯《きんば》など呼び老爺《おやじ》、大父《おおちち》、十二《にんりき》、金脚《きんあし》など名づけ決してその本名呼ばずまた同国小農輩キリスト昇天日第二言わずいずれもその避けんため(ロイド『瑞典小農生活《ピザント・ライフ・イン・スエデン》』)。カナリース本名言わずベンガルでは必ず叔父ははかたおじ唱う(リウィス『錫蘭セイロン俗伝』)。わが邦にも諸職各々忌詞《いみことば》あって、『北越雪譜杣人《そまびと》猟師から女根まで決して本名称《とな》えぬ挙げ熊野でも巫輩《みこども》山の神また御客様など言い山中天狗天狗呼ばず高様《たかさま》と言ったまた支那李耳《りじ》称う郭璞《かくはく》食う値《あ》えばすなわち止《や》む故に李耳呼ぶその触るればなり〉、応劭《おうしょう》南郡化けた李耳名づくと言った李時珍これとし李耳狸児《りじ》訛《なま》ったので今も支那呼んで為すと言った日本専らたぬき訓《よ》ます支那ではたぬきほか学名フェリス・ヴィヴェリナ、フェリス・マヌル野猫をも呼ぶしたがって野狸別《わか》たんとて家狸異名因って想うに仏経罵って小蛇子と言うごとく狸児蔑して児猫といった意味だろうこれ似て日本擬《なぞら》えた『世事百談』とは大小剛柔遥かに殊《こと》なるといえどもその形状類する絶えて能く似たりされば我邦古《いにし》え手飼の虎いえる古今六帖浅茅生《あさぢふ》の小野篠原いかなれば手飼の虎伏所《ふしどころ》なる」、また源氏物語女三宮見えたり唐土《もろこし》小説山猫という事、『西遊記十三虎穴陥って金星解《とりのぞ》くいえる「〈伯欽道《い》う是個《こ》の山猫来れり云々見る一隻班爛虎〉」あり云々」、これ伯欽恃《たの》んで山猫蔑語したのだ
南方熊楠関する史話伝説民俗」『十二支』1914-23、冒頭
1-2.
熟田津《にきたつ》舟《ふな》乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
(「万葉集奈良時代
どこか美しいないどこか美しいない(茨木のり子「六月」『見えない配達夫』1958)
1-3.
若菜給ひける御歌
(「古今和歌集」913)
白馬《あをうま》見とて里人は車清げにしたてて見行く
清少納言枕草子平安中期
 
ある又七郎女房言いつけてふけてから阿部屋敷見舞いやった阿部一族叛いて籠城めいたことしているから同志交通することが出来ないしかるに最初からの行きがかり知っていてみれば一族もの悪人として憎むことは出来ないましてや年来懇意にした間柄である婦女としてひそかに見舞うのはよしや後日発覚したとて申しわけ立たぬことでもあるまいという考え見舞いやったのである女房聞いて喜んで心尽くし取り揃えてふけておとずれたこれなかなか気丈なもし後日発覚したら自身引き受けて迷惑かけまい思ったのである
森鷗外阿部一族」1913)
1-4.
青葉なり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます
吉田兼好徒然草」14世紀前半
蟻のごとくに集まりて、東西急ぎ、南北走《わし》る
吉田兼好徒然草」14世紀前半
1-5.
春の野に若菜摘まむと来《こ》しものを散りかふ花道はまどひぬ
(「古今和歌集」913)
1-6.
御袴着《はかまぎ》のこと、一の宮の奉りし劣らず
紫式部源氏物語平安中期
1-7.
ありがたきもの、舅《しうと》ほめらるる婿
清少納言枕草子平安中期
1-8.
浅緑糸よりかけて白露を珠《たま》もぬける春の柳
(「古今和歌集」913)
はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、[桐壺ノ更衣ヲ]めざましきものおとしめそねみ給ふ
紫式部源氏物語平安中期
1-10.
桐の木の花、紫咲きたるはなほをかしきに
清少納言枕草子平安中期
1-11.
うへも聞こしめして渡りおはしましたり
清少納言枕草子平安中期
1-13.
「に」1-13.用例
1-14.
この皮衣は火焼かむに、焼けずはこそまことならめと思ひて
(「竹取物語平安初期
1-15.
花ぞむかしの香にほひける
(「古今和歌集」913)
1-16.
この継母の有様をあたらしきもの思ひて
紫式部源氏物語平安中期
1-17.
逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花《しらゆふはな》波立ち渡る
(「万葉集奈良時代
2.
有識《いうそく》公事《くじ》のかた、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ
吉田兼好徒然草」14世紀前半
 北側けちな並べていて一番体裁好い板塀繞らした小さいしもた屋その外手職するなんぞ住いであった荒物屋烟草屋しかなかった往来目に附く裁縫教えている昼間格子窓大勢集まって為事していた時候好くて明けているとき我々学生通るいつもべちゃくちゃ盛んにしゃべっている挙げて往来見るそしてし続けたり笑ったりするその格子戸綺麗に拭き入れて上がり口叩き御影石塗り込んだ折々夕方通って見ると打水してあるあった寒い障子締めてある暑い竹簾卸してあるそして為立物師賑やかな為めにこのいつも際立ってひっそりしているように思われた
森鷗外」1913)
3-1.
「に」3-1.用例
3-2.
とく漕げ、日のよき
渡し守、はや舟に乗れ、日も暮れぬと言ふ、乗りて渡らむとするに
(「伊勢物語平安時代
3-3.
「に」3-3.用例
3-4.
たまさかにても、かからむ人をいだしいれて見む、それにますことあらじ
紫式部源氏物語平安中期
旅の空を思ひやるだにいとあはれなる、人の心もいと頼もしげには見えずなむありける
藤原道綱母蜻蛉日記/かげろふ日記」10世紀後半
4-1.
懷疑意味正確に判斷すること容易でないやうに見える或る場合には懷疑神祕化されそれから一つ宗教生ずるまでに至つてゐるあらゆる神祕拂ひのけること懷疑仕事であるであらう反對場合には如何なる懷疑懷疑であるといふ理由容赦なく不道徳として貶せられてゐる懷疑知性一つであり得るであらう場合懷疑そのもの一つ獨斷となる場合懷疑から敲きつけようとするやはり獨斷である
三木清懷疑について」『人生論ノート』1941、冒頭
4-2.
しづかにしなさろ、むすめが目をさます
滑稽本十返舎一九・「東海道中膝栗毛」1802-09)
飯をたいたら、かゆになってしまうわな。米をたくといへばいい
滑稽本十返舎一九・「東海道中膝栗毛」1802-09)
4-3.
ひさかたの天路《あまぢ》は遠しなほなほに家に帰りて業《なり》をしまさ
 (「万葉集奈良時代