いう(言う・云う・謂う)

30/12/2015 12:24

いふ」]
][ワ[ハ]]
中世頃から終止形連体形の「いう」が融合して「ゆう」と発音されるようになり、「ゆ」を語幹として活用させた形も生じた。現代でも話し言葉では 終止形連体形 は「ゆう」と発音されるが、表記は「いう」。漢字表記は現代では「言」が主に用いられる。古くは1.3.には「云」がよく用いられ、「謂」は「いわば」「いわゆる」の場合に用いられた。]
アクセント:いガ・ゆガ]
1.
言葉を口に出す。心に思っていること、考え・判断などを相手に伝達するために、声を出して単語や文を発する。казвам,изказвам
1-1.
口を通して何らかの音・単語を発する。
やっと片言をいうようになった 「キャーッ」といって逃げた 口の中でぶつぶついっている 冗談一ついわない つべこべいわずにさっさとやれ 彼女はよく口から出まかせをいう
1-2.
事柄やや考えを音声または文字に書いた文章によって表出する。告げる。表す。表現する。казвам,изразявам,говоря
文句をいうоплаквам се だれも彼のことをよくいわない。Никой не говори добри неща за него. これ以上いうことはない。Нямам какво повече да кажа. 出席できない旨を手紙でいってきた いくら聞いても名前をいわない。Колкото и да питам, не ми казва името си. 行き先もいわずに出かけるизлизам без да кажа къде отивам デカルトは『方法序説』の中で次のようにいっている 人にいわれてやっと気がついた。Забелязах едва след като ми обърнаха внимание на това.
1-3.
名づける。称する。と呼ぶ/呼ばれている。нарича се,казва се
この子の名は花子という。Името на това дете е Ханако. 山田という者ですが、お父様はご在宅でしょうか 11月3日を文化の日という 村人はその医師のことを『赤ひげ先生』といってい る 東京都に属しているのに『伊豆諸島』というのは、もと伊豆の国に属していたからだ あの人は名人といわれるだけあって年をとっても腕は確かだ 森鷗外は本名を林太郎という
1-4.
[…という」の形で文を受けて。]
世間の多くの人が…ということを述べる、そのように称する、という意を表す。 говори се,че;казват,че
縁起がいいといわれる大安の日に結婚式をあげる人が多い 彼は無類の好人物といわれている 「かわいい子には旅をさせろ」というが、これは現代でも通用する
1-5.
命令したり指令したりする。казвам, нареждам
少しは親のいうことも聞きなさい。Слушай поне малко каквото ти казват родителите. あいつは人にいわれないと動こうとしない
1-6.
[評価を表す
形容詞形容動詞連用形付いて。]
或るものを…であると評価し、それを表明する。
死んだ人のことを悪くいいたくはないが
1-7.
[「…を言う」の形で、
形容動詞語幹付いて。]
…のようなことを言い表す。
無理を言う わがままを
うんじゃない お忙しいのに、勝手をって申し訳ありません
2.
2-1.
何らかの声や言葉を発する。издавам(звук,глас)
わあといって泣き出した
2-2.
動物や物が声や音を発する。казвам/правя/издавам звук(за животни и предмети)
犬がわんわん/キャンキャンいってうるさい 鉄瓶がちんちんいう 床がみしみしいう 風で雨戸がガタガタいう
3.
実質的な1.の意味が弱まったり、なくなったりして、常に他の語に付いて用いられる。これから転じた「…っていう」「…って」の形も並び行われる。仮名で書くのが普通。
3-1.
[「…という」の形で
体言に続けて。]
3-1-1.

下にくる語の内容を具体的に説明・限定する、あるいはそれらが同格であることを示す。
ハイジという少女 アメリカという国 人事部という部署 部長というポストははたから見るほど楽な仕事ではない
3-1-2.
[「…というもの」「…ということ」などの形で。]
「と」の前の事柄を特に取り立てて示して、意味を強める。
人というものはわからないものだ 山国育ちの彼は海というものをまだ見たことがない おまえというやつは何とひどい人間なのだ
3-1-3.
数量を表す語に付いて、その意味を強める。…に相当する。
何十万というイナゴの大群
3-1-4.

同じ名詞を前後に置いて、それに属するものはすべて、または、その語を強める意を表す。
入り口という入り口は閉鎖された 窓という窓はすべて粉々に割れた 店という店はどこも休んでいた 今日という今日はがまんできない 特に用事という用事でもないが 今度という今度はもう許さないぞ
3-2.
[「…といえば」 「…というと」 「…といい…といい」などの形で。]
話題として取り上げて示す。
今いちばんおもしろい映画といえば何でしょう 大きさといい、値段といい、ちょうど手ごろだ この車は性能といいスタイルといい申し分ない名車だ 佐藤さんといえば、もうじき子供が生まれるんですってね 劇場は一階といわず二階といわず客でいっぱいだった
3-3.
副詞「こう」「そう」「ああ」「どう」に「いう」「いった」が付いた形で体言に続けて。]
…のような、…の類の、などの意の連体修飾句/連体詞をつくる。
そういう病気にはこの薬が効く ああいう場所には二度と近づくな
3-4.
代名詞「これ」「どこ」「なに」に「という」「といった」「といって」などが付いた形で、あとに打消しの語句を伴って。]
特に取り立てて言うほどの目だった…がない意を表す。
これという欠点もないが長所もない 別にこれというはっきりした理由があるわけではないが、どうも...というような気がする これといった趣味がない どこといってからだに悪いところはないが、どうも調子が悪い
3-5.
[「…という」「…ということだ」などの形で。]
話の内容が直接でなく他からの情報にもとづくことを表す。と聞いている。…そうだ。
気象庁の長期予報によると、今年の冬は寒いという 病状は峠を越したということなので安心した 
3-6.
[「…といっても」「…とはいえ」「…とはいうものの」などの形で。
接続詞的にも用いられる。]
「確かに…が、しかし…」「…が、しかし…」などの意を表す。であっても。
春といっても風はまだ冷たい 失敗したとはいえ、悲観はしていない 災害に対する備えは万全だ。とはいえ、用心するに越したことはない
3-7.
接続助詞から」 を「といって」で受け、下に打ち消しの語を伴って。 「だからといって」の形で接続詞にも用いられる。
そのような条件・理由があっても必ずしも…ではないという意を表す。

対戦相手が弱いからといって油断してはいけない 有名だからといって必ずしもそれが優れているとは限らない
3-8.
[状態を表す語を「といったらない」の形で受けて。]
程度が、これ以上に…ことはない、極めて…、大いに…、大いに…た、などの意を表す。
病弱な上に、年はとるし、心細いといったらない 悪口を言っているところへ本人たちが来たもんだから、彼のあわてようといったらなかった
3-9.
[「そうかといって」「かといって」「といって」などの形で
接続詞に用いて。]
或る事態を前にして、それを受け入れたくないが、受け入れないのも具合が悪いという気持ちを表す。
ごちそうしてもらう筋合いではないが、そうかといって割り勘というのも不都合だ あの人からこんな物をもらう筋合いはないが、そうかといってつっ返すのも角が立つ
3-10.
[「なんという」の形で、状態を表す語の上に
付いて。]
その状態の程度の大きさに対する驚きを表す。
まあ、なんという立派な建物なんだろう
4.
4-1.
詩吟を吟ずる。
4-2.
[手紙・歌などで]
愛情を告げる。求愛する。言い寄る。

いいあう(言(い)合う)・言い得て妙《みょう》・言い出す・言うことなし・言うことを聞く・言うだけ野暮《やぼ》・言う所《ところ》の・言うなれば・言うに言われぬ・言うに及《およ》ばず・言うに事欠いて・ 言うは易《やす》く行《おこな》うは難《かた》し・言うまでもない・言うもおろか・言う由《よし》無し・言うを俟《ま》たない・言えば世の常・いえる(言える・云える・謂える)可能動詞・言って退《の》ける・言って見れば・いわく・言わず語らず・言わずと知れた・言わずもがな・言わでもの事・言わないことではない・言わぬが花・言わぬは言うにまさる・いわば・いわゆる・言わんばかり・うそぶく・有無《うむ》を言わせず・仰せられる・おっしゃる・語る・口を利く・口に出す・口にする・口走る・これという・これと言って・言上《ごんじょう》する・四の五のいう・しゃべる・そうかと言って・だからと言って・何彼《なにか》と言うと・何をか言わんや・何という・なんと言っても・抜かす・宣《のたま》う・述べる・吐く・発言する・はなす・ほざく・申し上げる・申す・ものをいう・漏らす

[用法]
「いう」「
はなす
・「言う」は「独り言を言う」「言うに言われない」のように、相手の 有無にかかわらず言葉を口にする意で用いるほかに、「日本という国」「こういうようにやればうまく行くというわけだ」など引用的表現にまで及ぶ。
・「
はなす」は「しゃべる」とともに、「喫茶店で友達と話す」「電話で近況を話す」のように、相手がいる場での言葉の伝達である。「話し方教室」とはいうが、「言い方教室」とはいわない。
・類義語に「述べる」「語る」があるが、ともにまとまった内容を筋道を立てて発言する意の語であり、「意見を述べる」「紙上で述べ る」のように用いたり、「物語」「義太夫語り」のような熟語を生んだりする。
(参考:「大辞泉」など。)

用例

1-2.
「いう(言う・云う・謂う)」1-2.用例
1-3.
「いう(言う・云う・謂う)」1-3.用例
1-5.
 
阿部屋敷討手向う前晩なった柄本又七郎つくづく考えた阿部一族自分親しい間柄であるそれで後日咎めあろうとは思いながら女房見舞いまでやったしかしいよいよ明朝討手阿部家来るこれ逆賊征伐せられるお上同じことである御沙汰には火の用心せい手出しするな言っある武士たるものこの場合懐手して見ていられたものではない情け情けであるおれにはせんようある考えたそこで更闌けて抜き足して後ろ口から薄暗い出て阿部家との竹垣結び縄ことごとく切っておいたそれから帰って身支度して長押かけた手槍おろし鷹の羽付いた払って明ける待っていた
森鷗外阿部一族」1913)
1-7.
芥川龍之介」1920、冒頭
武田泰淳風媒花1952
2-2.
 
昨宵《ゆうべ》夜中《よじゅう》で、ばちばち云う聞いたこれ近所にクラパム・ジャンクションと云う停車場おおステーション》のある御蔭であるこのジャンクションには一日うちに汽車いくつか集まってくるそれ細かに割りつけて見ると、一《ひ》と列車ぐらいずつ出入《でいり》するなるその列車深いには、何か仕掛で、停車場間際来ると、爆竹ような立てて相図する信号灯光でもでも全く立たないほど暗くなるからである。Цяла нощ вчера, докато лежах в леглото, в ушите ми отекваше пукот. Това е благодарение на намиращата се наблизо възлова ж.п. гара Калпхам Джанкшън. На този ж.п. възел на ден се събират по 1000 и повече влака. Което, ако се раздели с точност, излиза, че на всяка минута влиза или излиза по един влак. Когато мъглата е гъста, всеки един от тях, посредством някакъв механизъм, щом наближи гарата сигнализира, издавайки звук, подобен на последователно избухващи бомбички. Причината е, че става толкова тъмно, че светлината на семафора – дали зелена или червена – става напълно безполезна.
夏目漱石「霧」『永日小品』1909、冒頭、В превод на Агора София, 2011)
3-1-1.
「いう(言う・云う・謂う)」3-1-1.用例(1913)
江上波夫石田英一郎・上山春平・江上波夫・増田義郎「座談会日本人好奇心エネルギー源泉」『日本文化構造』1972)
3-1-2.
 政道地道である限りは、咎め帰するところ問うものない一旦変った処置あると、捌きという詮議起る当主覚えめでたく去らずに勤めている大目附に、林外記というものある小才覚あるので、若殿時代お伽には相応ていたが、大体見ることにおいておよばぬところあってとかく苛察傾きたがるであった。阿部弥一右衛門は故殿許し得ずに死んだのだから殉死者と弥一右衛門とのには境界つけなくてはならぬ考えたそこで阿部俸禄分割献じた。光尚も思慮ある大名ではあったが、まだ物馴れぬときことで、弥一右衛門や嫡子権兵衛と懇意でないために思いやりなく自分手元使って馴染みある市太夫がために加増なるいうところ目をつけて、外記の用いたのである
森鷗外阿部一族」1913)
 
現実世界とはとの働く世界でなければならない現実との相互関係考えられる働くことによって出来た結果考えられるしかし働くいうことは、自己自身否定することでなければならないいうものなくなって行くことでなければならないとが働くことによって一つ世界形成するいうことは、逆に一つ世界部分考えられることでなければならない例えば空間において働くいうことは、空間いうことでなければならないその物理的空間いう如きもの考えれば、物力は空間なるもの変化とも考えられるしかし何処(どこ)までも全体部分として考えられるいうことは、働くいうものなくなることであり世界静止なることであり現実いうものなくなることである現実世界何処までもでなければならない個物個物との相互限定世界でなければならない故に現実世界絶対矛盾自己同一というのである
西田幾多郎「絶対矛盾的自己同一」1939、冒頭
3-8.
 高いところから墜落して一時的にだが記憶喪失かかったいる
意識もどってはじめて見たときこれなんなのか使うのか判らなかったですねえ判らないなりなんかひどく懐しいんだなあ懐しくて出そうなのにここまで出かかっているのに思い出せないあの情けなさいったらなかったなあ
 ハシという名前使う判ったとき嬉しくて男泣き泣いてしまったという
向田邦子チャンバラ1982冒頭
4-1. 
漢詩《からうた》、声あげていひけり
紀貫之土佐日記/土左日記」935?)
4-2.
いとねむごろにいひける人に、こよひあはむと契りたりけるに
(「伊勢物語平安時代