終助詞・間投助詞・格助詞・係助詞・感動詞

29/10/2015 08:30

1.
終助
[現代語では、1-3-2.は女性、それ以外はもっぱら男性が用いる。]
1-1.

動詞動詞助動詞終止形ラ変活用語連体形に付く。「ショセンコノ黄金ヲバシャントモトラセラレナ」(天草本「伊曾保物語」1593)「万一うせたりとも物いふな。顔も見な」(浄瑠璃近松門左衛門心中宵庚申」1722)「さては俺に此の邸へ来《こ》なとの言分ぢやな」(浄瑠璃近松門左衛門心中宵庚申」1722)などのように、中世近世には連用形未然形にも接続することがあった。]
禁止する。
油断するな。Не се разсейвай! まだ帰るな。Не се прибирай още! 泣くな、泣くな。Не плачи, не плачи.
1-2.

補助動詞「なさる」の命令の言い方「なさい」を省略したものから。話し言葉でのぞんざいな言い方に用いられる。
近世江戸語以降の語。動詞連用形またはその撥音便の形、助動詞「せる」「させる」の連用形などに付く。]
命令する。
早く行きな。Тръгвай бързо! 好きなようにやりな。Прави каквото искаш さっさと起きな。Ставай веднага! 早く入んな
1-3.

活用語終止形助詞(古くは体言にも)に付く。]
1-3-1.

軽く断定・主張する。
これは失敗だな 謝るなんていやだな
1-3-2.

[多く「なさい」「ください」「ちょうだい」などに付いて。]
やわらかく依頼・勧告・命令する。
これくださいな お手伝いしてちょうだいな
1-3-3.
相手の返答・同意を求めたり、念を押したりする意を表す。
君も行ってくれるだろうな 早めに片付けような あれ、いくらだったか覚えてないかな
1-3-4.

感動や詠嘆を表す。
この暑さにはまいったな 楽しいな ずいぶん大きくなったな
1-3-5.

[「…ないかな」「…といいな」「…と思うがな」などの形で。]
軽い願望を表す。
誰か来ないかな 早く来るといいな
1-3-6.

上代語動詞動詞助動詞未然形に付く。]
自分の決意・願望、また他に対する勧誘・期待・願望を表す。よう。たい(な)。ようよ。てほしい。
2.

間助
[文末や、文中の種々の切れ目に用いる。]
語勢を添えて、自分の言葉を相手に言い聞かせよう/納得させようとする。
あの店はな、品物がいいんだ 彼な、来られないんだって
3.

格助
3-1.

上代語名詞に付く。奈良時代にはすでに自由な用法がなく、限られた語の中にみられるだけである。現在「まなこ(眼)」「みなと(港)」。「手《た》な末」「眼《ま》なかいなどの語にその形をとどめる。]
格助詞「の」「が」「つ」と同じ用法のもの。連体修飾格を示す。の。
3-2.

格助詞」の音変化。上代東国方言。]
時間・場所を表す。に。

4.

係助][係助詞」が直前の撥音「ん」と融合して音変化したもの。狂言平曲などに行われたが、本文表記は「は」のままなのが普通。]
5.

なあ[感]」に同じ。

用例

1-1.
1-3-1.
あべの大臣、火ねずみの皮衣もていましてかぐや姫に住み給ふと
(「竹取物語平安初期
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるりと舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(栗原彬「かんけり政治学1984
1-3-1.1-3-3.1-3-4.
森鷗外阿部一族」1913)
森鷗外阿部一族」1913)
1-3-1.1-3-4.
  
ある花畠からは山崎すぐ向うなっているので、光尚出るとき阿部屋敷方角人声物音する聞こえた
討ち入ったと言って、光尚駕籠乗った
森鷗外阿部一族」1913)
1-3-3.
こは常陸の宮ぞかし、しか侍りと聞こゆ
 思い出すしばらく訪れた高齢者グループホームこと
 住むいなくなった木造民家ほとんど改修せずに使うデイ・サーヴィス施設だったもちろんバリアフリーからはほど遠い玄関には石段あり玄関引く玄関間ある脱いでよいしょ上がるこんどそれ開けてみな集《つど》っている居間入る軽い認知症患っているその女性お菓子おしゃべり興じている老人たちにはすぐに入れず呆然と立ちつくすなんとなくいたたまれず折ってしゃがみかけるとっさどうぞいざりながら自分使っていた座布団差しだす伸びる。「おかまいなく座布団押し戻し、「言うておす遠慮せんといっしょお座りやすふたたび座布団押し戻される…。
(鷲田清一「身ぶり消失」2005)
1-3-4.
かれぞこの常陸守の婿の少将
  二人二階並べていたその赤黒く光った様子ありありと二十今日《こんにち》までも、残っている部屋北向で、高さ足らぬ小窓を前に二人喰っつけるほど窮屈な姿勢下調《したしらべ》した部屋薄暗くなると、寒いのを思い切って窓障子明け放ったものであるその真下家《うち》の、竹格子若いぼんやり立っている事があった静かな夕暮などその姿際立って美しく見えた折々ああ美しい思ってしばらく見下《みおろ》していた事もあったけれども中村には何にも言わなかった。中村も何にも言わなかった
夏目漱石「変化」『永日小品』1909、冒頭)
「な[終助詞・間投助詞・格助詞・係助詞・感動詞]」1-3-4.用例(1913)
1-3-6.
秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄りな言痛《こちた》くありとも
(「万葉集奈良時代
馬並《な》めていざ野に行か
萩の花見に
(「万葉集奈良時代
梅の花今盛りなり思ふどちかざしにして
今盛りなり
(「万葉集奈良時代
帰るさに妹に見せむにわたつみの沖つ白玉拾《ひり》ひて行か
君が代も我が代も知るや磐代《いはしろ》の岡の草根をいざむすび
この御足跡《みあと》八万《やよろず》光を放ち出だし諸々《もろもろ》救ひ済《わた》したまは救ひたまは
旅行きもし知らぬ君を恵みたまは
熟田津《にきたつ》に舟乗りせむと待てばかなひぬ今はこぎいで
(「万葉集奈良時代
八千種の花は移ろふ常磐なる松のさ枝を我はむすば
(「万葉集奈良時代
2.
鯉を求めてくれいと仰せられてござる
狂言鱸庖丁」)
3-1.
かひに、もとなかかりて
3-2.
草陰の安努《あの》行かむと墾《は》りし道安努は行かずて荒草立ちぬ
4.
また生滅々已《しゃうめつめつい》の心北門建長寺
狂言鐘の音」)