完了の助動詞

07/07/2012 03:09

助動
/り/り/
四段サ変動詞連用形に「あり」の付いた語、例えば「行きあり」「しあり」の音変化形「行けり」「せり」の「り」から。ただし、これには異説もある。四段動詞已然形サ変動詞未然形に付く。上代から用いられたが、しだいに衰えて「たり」に代わるようになった。「り」の接続については、平安時代を中心に、四段動詞已然形サ変動詞未然形に付くと説かれる。それに対して、奈良時代では活用語尾に甲・乙2類のかなの区別のある四段動詞の場合、已然形は乙類のかな、命令形は甲類のかなであって、「り」は甲類のかなに接続していたので命令形に付くとされる。しかし、これは、「り」の前にある甲類のかなは「書きあり(kaki+ari→kakeri)」「しあり(si+ari→seri)」などのようにもともと連用形活用語尾のイ段の音と「あり」の「あ」との音変化によって生じたのであって上接動詞活用形は便宜的に扱っているに過ぎない。また、平安時代以降は甲類・乙類の区別がなくなり、四段動詞已然命令の両形が同一の形となったため、助詞などを下接しうる已然形に接続するものと説かれたのである。なお、上代には、「我が旅は久しくあらしこの我《あ》が着《け》〈る〉妹が衣の垢《あか》付く見れば」(「万葉集奈良時代)「見まく欲り思ふ間に玉梓の使ひの来《け》〈れ〉ば(「万葉集奈良時代))のように、カ行上一段カ行変格活用動詞に付いた例も見られる(動詞の形は「け」の甲類の仮名が用いられており、これも連用形語尾「き」と「あり」との結合の結果とみられる)。院政時代以降、「我れ前の夫、大臣を恋ふるに依りて歎き愁へ〈る〉なり」(「今昔物語集平安後期)のように、下二段活用動詞に付いた例も見られる。この語とほぼ同じような意味を表す助動詞に「たり」があるが、中古以降、接続の自由な「たり」の方が次第に多く用いられるようになり、中世以後、終止連体形以外には、「り」はほとんど用いられなくなっていった。]
1.
動作・作用の継続している意を表す。...ている。...てある。
2.
動作・作用が完了して、その結果が存続している意を表す。...た。...ている。...てある。
3.
動作・作用が完了したことを表す。...た。...てしまった。

たり

用例

1.
立て人どもは、装束の清らなること物にも似ず
(「竹取物語平安初期
梅の花それとも見えず久方の天霧《あまぎ》る雪のなべて降れ
(「古今和歌集」913)
舟《ふな》子、かぢとりは、舟唄うたひて何とも思へ
紀貫之土佐日記」935?)
2.
秋の野のみ草刈り葺《ふ》き宿れし宇治のみやこの仮廬《かりいお》し思ほゆ
(「万葉集奈良時代
富士の山を見れば、五月のつごもりに雪いと白う降れ
(「伊勢物語平安時代
雪のうちに春は来にけりうぐひすのこほれ涙今やとくらむ
(「古今和歌集」913)
3.
講師、むまのはなむけしにいでませ
紀貫之土佐日記」935?)
いとをかしげに、ひきつくろひて渡り給へ
紫式部源氏物語平安中期
勅使、蔵人侍従宗基、目録もちて参れ
(「増鏡」14世紀半ば)