あれば(有れば・在れば)

06/10/2014 15:13

1.
動詞ある(有る・在る)仮定形あれ(有れ・在れ)1.接続助詞」。
2.
動詞ある(有る・在る)あり(有り・在り)2.已然形あれ(有れ・在れ)2.接続助詞」。

用例

1.
太股つかれた柄本又七郎台所伏している高見もの見て、「負いなされた見事じゃ早う引きなされいと言って通り抜けた。「引くあればわしはいる、又七郎苦々しげに言って歯咬みしたそこへあと慕って入り込んだ家来一人駈けつけてかけて退いた
森鷗外阿部一族」1913)
2.
罪過アリストテレス悲哀戯曲用ひしより起原せるものにして独逸語所謂「シウルド」なり日本語重訳して罪過と謂ふ稍々穏当ならざるが如しと雖もアイデアルリアル訳して理想的実写的さへ言ふことあれば是れ差して咎むべきにあらず
吾人をして若し罪過定義下さしめば簡明にの如く謂はん欲す曰く
罪過とは悲哀戯曲人物悲惨境界淪落せしむる動力《モチイブ》源因なり

石橋忍月罪過」1890、冒頭
人附合い余り好くないであったから学校構内好く逢うでも用事なくてはしない同じ下宿屋いる学生なんぞには脱いでするようなこと少かったそれが岡田少し心安くなった古本屋したのである散歩歩く道筋岡田ように極まってはいなかった達者で縦横に本郷から下谷神田掛けて歩いて古本屋あれば止めて見るそう云う度々岡田店先落ち合う。「好く古本屋出くわすじゃないかと云うようなどっちから言い出した親しげに言ったである
森鷗外」1913)
ニモマケズ
ニモマケズ
ニモ
暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダモチ
ナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日玄米
味噌少シ野菜タベ
アラユルコト
ジブンカンジョウ入レズニ
ヨクミキキワカリ
ソシテワスレズ
野原
※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)かげ
小サナ萓ブキ小屋ヰテ
病気コドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ツカレタアレバ
行ッテソノ負ヒ
死ニサウナアレバ
行ッテコハガラナクテモイヽイヒ
ケンクヮソショウアレバ
ツマラナイカラヤメロイヒ
ヒドリトキナミダナガシ
サムサ
ナツオロオロアルキ
ミンナデクノボーヨバレ
ホメラレセズ
ニモサレズ
サウイフモノ
ワタシナリタイ
宮沢賢治/宮澤賢治(1896-1933)「ニモマケズ」遺稿、冒頭
花山院御時大納言というあった贅肉たまたま姿かりたようによくふとっていたすでに五十であったきこえた色好みには衰えなく夜毎おちこち通った白々明け戻り道きぬぎぬ残り香なつかしんでいるのであろうねもやらずたたずみ朝景色見惚れている姿垣間見たりなどすることがある垣根もと忍び寄って隙見する習いであった怪しまれて誰何受けることあればなき声真似ること古い習いなっていた時々また楽しみなことでしたなど通人ものとも見えぬ香《かんば》しからぬこと言って満悦だった垣根際叢《くさむら》濡らしてしまうことなどかけたこともないたちだった
坂口安吾大納言」1939、冒頭